5. 早期離床を進めるポイント
段階的な離床プログラムを組む
寝たきりの状態からいきなりベッドを離れるのは、利用者にとって大きな負担になります。
ベッドの頭を少しずつ上げて状態を起こす練習から、ベッドの縁に座って足をつける練習、介助を受けながら車椅子への移乗など、利用者の体調や体力に合わせて、無理なく進めることが大切です。
多職種との連携を強化する
離床プログラムは、介護職だけでなく、多職種で連携して実施します。それぞれの職種が、共通の目標を設定し、専門知識に基づいた評価をおこなうことで、より効果的な離床支援につながります。
職種 | 役割 |
|---|---|
介護職 | ・実生活での離床支援 ・座位や移乗の介助など |
リハビリテーション専門職 | ・離床に必要な身体機能などの評価 ・車椅子適合や移乗方法の提案など |
医療従事者 | ・離床実施の可否とリスク管理 ・褥瘡など二次障害の予防と対応など |
福祉用具関連の事業者 | ・福祉用具の紹介や提案 |
環境整備と補助具の活用
離床プログラムの実施には、利用者の状況に合わせた細やかな対応が求められます。
ベッド周りを整理整頓して移動しやすい動線を確保したり、起き上がりを安全にサポートする手すりやバーを設置したりするなど、離床しやすい環境を整えます。
また、福祉用具の活用も重要です。ベッドから車椅子への移乗をスムーズにするスライディングボードや、転倒リスクを軽減する歩行器具など、適切な補助具を活用します。
6. 臥床と離床を正しく理解して介助に活かそう
臥床(がしょう)とは「横たわっている状態」、離床とは「ベッドから起き上がっている状態」のことを指します。
介護をするうえで、臥床と離床の介助は、すべての活動の起点となる重要な要素です。正しい知識を身につけることで、利用者の健康を守るだけでなく、介助者の体を守ることにもつながります。迷ったときは、専門職やチームの仲間と相談しながら、無理のないケアを心がけましょう。

