5.【2025年4月改正】失業手当(失業保険)はいつからもらえる?
失業手当は、会社都合か自己都合かによって受給できる時期が異なり、1〜1ヶ月半程度かかります。これまで、自己都合で退職した場合は、7日間の待機期間に加え、2ヶ月間の給付制限期間がありました。しかし、2025年4月の改正雇用保険法の施行により、この制限期間が1ヶ月に短縮されました。
離職理由別に、申請から受給の流れを確認してみましょう。
失業手当を受け取る流れ

退職後、10日〜2週間程度で以前の勤務先から離職票が届きますので、まずはそれをハローワークに持参して求職の申し込みをおこないます。このときハローワークの職員と面談をおこない、受給資格が決定します。
7日間の待機期間を経たあとに雇用保険受給説明会に出席し、雇用保険受給資格者証を受け取ります。初回の失業認定日は受給資格決定から約4週間後となりますので、指定された日に必ずハローワークに行って失業認定を受けてください。
ここまでは全員共通ですが、そのあとは仕事を辞めた理由によって初回の失業手当を受け取るまでの流れが異なります。
【2025年4月変更】自己都合による離職の場合
2025年4月の改正前は、7日間の待機期間のあと、さらに2ヶ月間の給付制限期間がありましたが、求職者が経済的な不安なく早期に再就職活動に取り組めるよう、給付制限期間が1ヶ月に短縮されました。そのため、自己都合退職者は、1ヶ月間の給付制限期間が明けたあとの失業認定日以降に失業手当が支給されることになります。
また、給付制限期間中に自ら教育訓練などを受けた場合は、給付制限は免除され基本手当が受給可能になります。
会社都合・自己都合でも正当な理由による離職の場合
初回の失業認定の1週間後に失業手当が振り込まれます。7日間の待機期間がありますので、初回の失業手当は20日分前後になります。これ以降も4週間に一度ハローワークで失業認定を受けることで、最大28日分の失業手当を受け取れます。
用語解説|失業認定とは?
失業認定とは、失業手当を受け取る条件の一つである「仕事に就く意志と能力がある」ことを認めてもらうことを指します。具体的には4週間に一度の失業認定日に雇用保険受給資格者証を持参してハローワークに行き、転職活動やアルバイトの状況について申告します。このときに虚偽の申告をすると不正受給とみなされてしまいますので、必ず正直に申告しましょう。
失業手当の申請に必要な書類
失業手当を申請するには次の書類が必要です。以前の勤務先から離職票が届くまでに10日〜2週間程度かかります。届いてから慌てることのないよう、その間にほかの書類を準備しておきましょう。
・雇用保険被保険者離職票
退職から10日〜2週間後に前の勤務先から届く
・個人番号を確認できる書類
マイナンバーカード、通知カード、個人番号記載の住民票のいずれか
・身元を確認できる書類
運転免許証、マイナンバーカードなど
・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
ネット銀行や外資系銀行は振込先として指定できない場合があるため注意
・証明写真(2枚)
おおむね半年以内に撮影したもの、正面上半身、タテ3.0cm×ヨコ2.4cm
*参考:ハローワーク|雇用保険の具体的な手続き
6.失業手当(失業保険)に関するよくある疑問
Q.失業手当を受け取るデメリットは?
A.失業手当のデメリットには、雇用保険の加入期間がゼロにリセットされる点があります。一般的に自己都合などであれば、失業手当を受け取るには12ヶ月の被保険者期間が必要になるため、就職先を1年未満で退職した場合、次の求職期間中は失業手当が受け取れません。そのため、退職後の数ヶ月間で次の職場が決まる可能性が高い場合、受給しないことも選択肢の一つになります。
Q.失業手当を受け取らないメリットは?
A.失業保険を受け取ると、4週間に2回以上の求職活動の実績と月1回の失業認定が必要です。そのため、自分のペースで転職活動を進めたい人にとっては、失業手当を受給しないことも選択肢となります。
Q.失業手当受給中にアルバイトをしてもいい?
A.失業手当を受給中でもアルバイトはできますが、次の4つの点に注意しましょう。
- 待機期間中の7日間はアルバイトをしない
失業手当の申請をしたあとの待機期間中にアルバイトをすると、その分だけ待機期間が延長されます。アルバイトをするのは待機期間を終え、初回の失業認定を受けたあとにしましょう。 - 1日の勤務時間を4時間以上にする
1日の勤務時間が4時間未満だと「内職または手伝い」と見なされ、収入額によっては失業手当が減らされてしまいます。アルバイトをするなら1日の勤務時間が4時間を超えるものを選びましょう。ただし、1日4時間以上働いた日は支給対象になりません。 - 1週間の勤務時間を20時間未満にする
通常、1週間に20時間以上働くと雇用保険の加入対象となります。つまり「就職した」と見なされ、失業手当を受け取れなくなる可能性があります。シフトを決めるときには1週間の勤務時間が20時間を超えないよう調整してもらいましょう。 - 失業認定日に必ず申告する
4週間に一度の失業認定日に虚偽の申告をすると「不正受給」と見なされ、受け取った失業手当の3倍の金額を返さなくてはなりません。働いた日数や収入は正確に申告しましょう。
失業手当は求職者の人が安心して転職活動に集中できるように支給されるものです。アルバイトが本分になってしまっては本末転倒ですので、メリハリをつけて活動しましょう。
Q.失業手当受給中も健康保険や年金の支払いは必要?
A.失業手当を受給している期間も、健康保険や年金の保険料が発生します。
健康保険料は、退職した会社で加入していた健康保険に継続して加入して保険料を納める方法と、国民健康保険に加入して保険料を納める方法の2種類があります。
退職した会社で加入していた健康保険に継続して加入する場合は、離職日から20日以内に健康保険組合または全国健康保険協会支部にて申請手続きをおこないましょう。ただし、会社負担がなくなる分、保険料の自己負担額が高くなります。
国民健康保険制度を利用する場合は、会社の健康保険を脱退してから14日以内に役所の保険業務担当窓口にて加入手続きをおこないましょう。国民健康保険制度では、やむを得ない理由や会社都合による退職の場合、保険料が減免される場合があります。保険料の減免は地域によって条件が異なりますので、利用する際は自治体のホームページまたは役所にて確認してください。
年金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を支払う必要があります。ただし、所得が一定以下の場合、保険料の納付が免除される制度が利用できます。免除された場合、老後に受け取る基礎年金額は減額減りますが、10年以内に追納すれば減額されません。
Q.失業手当受給中に扶養に入れる?
A.配偶者がいる人であれば「扶養に入れてもらう」という選択肢がありますが、それには年収130万円未満である必要があります。健康保険や年金の扶養は確定金額ではなく“見込み金額”で判断されるため、基本手当日額が一定額以上だと扶養に入れません。厚生年金の場合は3,612円と定められていますが(参考:日本年金機構)、健康保険の場合は加入先によって誤差(3,610〜3,612円)がありますので、必ず確認してください。
なお、失業手当の給付制限期間中(2ヶ月間)については収入がないため扶養に入ることができます。
扶養について詳しくはこちらの記事で解説しています。
>扶養控除とは? 配偶者控除や「103万円の壁」などを解説
Q.失業手当は確定申告が必要?
A.失業手当の給付金はすべて非課税ですので、確定申告の必要はありません。
ただし、本業(勤務先の業務)以外に、副業や不動産所得などによって年間20万円以上の所得(利益)があった場合は、確定申告の必要があります。
年度途中で退職して、年末調整を受けていない人の場合、確定申告をすることで、納めすぎた税金が還付される場合があります。
>【2025年変更点あり】確定申告はいつからいつまで?初めてでもわかるやり方、書類、期間をわかりやすく解説

