* * *
インバウンド需要に沸いている日本。観光地はもちろん、大きな都市ではどこに行っても外国人の姿が目に入ってきますが、日本に住み、インフレ&物価高の影響を大きく受けている日本人からすると「日本の何がそんなに良いのか?」と疑問に思ってしまいますよね。
そこで、すこし日本にゆかりのある外国人に「日本の印象」を聞くことで、我々が忘れかけていた日本の素晴らしさに改めて気づくことができるかもしれません。

夢は2000年式日産「ステージア260RS」に乗って走ること。今回は、そんな日本車好きのダンさんにお話を伺いました。
◆海と空が広がる瀬戸内海沿いのドライブ

車好きだけあって、日本ではレンタカーが移動手段だったダンさん。日本とアメリカでは車の走行車線は反対ですが、不安はなかったのでしょうか。
「最初はすこし緊張しました。滞在先のホテルから仕事場までの通勤もアメリカからいっしょに来た同僚たちと車だったので、数日で感覚をつかめました。でも慣れたころに“気”ってゆるみますよね。だから車の中では運転手だけの責任じゃなく同僚みんなで、正しい車線を走っているかの確認を怠りませんでした」
◆日本の焼き肉店で“王様のようなおもてなし”に大満足

「煙がたちのぼるグリルの上で、みんなで代わるがわる肉をジュージューと焼くのが最高でした! お店のスタッフは一つひとつの料理を丁寧に運んできて、笑顔で私たちを気遣ってくれました。まるで王様になった気分でしたよ。
王様気分だなんて、大げさだなと思うかもしれませんね。でもアメリカでは、不機嫌そうな仏頂面で、放り投げるようにお皿をテーブルの上に置く店員さんも少なくないんです。それに肉を焼くと油が散るはずなのに、店内全体がすごく清潔なんです」
飲み物は、同僚3人はビール、そしてダンさんは健康上の都合でソーダを注文。それでもお会計は4人合計で約50米ドル(1米ドル150円で計算すると7500円)だったそうです。
「あんなに赤身がきれいで鮮やかなお肉、初めて見たんです。次々と肉を焼いて、食べて、飲んで、笑って、最高のおもてなしを受けて。しかもチップを払わなくていいなんて。すべてがびっくりでした。そのうえ私たちがお店を出るとき、スタッフ全員が並んで、お辞儀をしてお礼を言ってくれたんですよ。こんな経験、生まれて初めてです」
アメリカには料理代とは別に、サービスをしてくれたスタッフへ感謝の気持ちとして渡す「チップ」というシステムがあります。最高のおもてなしを受けて、チップをはずもうと思っていたダンさんたちにとって、不思議な感覚だったのかもしれません。

