
千秋楽公演、アリーナ中央に設置された360度から見えるステージ。1万4000人のファンの手拍子が開演時間を近づくとともに大きくなっていった。スモークが立ち上がり、赤いカーペットに横山裕、大倉忠義、村上信五、丸山隆平、安田章大が登場。気合い入れるようにステージに上がると、ギターを手にした横山が叫んだ。
「俺らの青春はここからやぞ!」
それをきっかけに5人がロックサウンドを奏で始める。1曲目は「あおっぱな」。がむしゃらに夢を追いかける青春ソングだ。「もっと声出して!」と横山が煽れば、ファンも負けじと歓声とペンライトで応える。序盤からボルテージが一気に上がって「ズッコケ男道」の演奏後にはドリンクを飲み干して、「やっばぁ!」という大倉の感想が会場に響くぐらいだった。
この日はバンドの聖地・東京武道館ということで、普段はあまりお披露目しない楽曲をアコースティックバージョンで披露。「ワッハッハー」(‘08年)が「I to U」(’11年)など、サビでは5人とファンの歌声が重なり合唱する場面も。「ワッハッハー」のオチで見せる丸山の顔芸をメンバーが面白がってリピートさせて遊び始めると、会場は笑いに包まれた。
セットリストの中でも、一段と歓声が沸いたのは「象」だ。この曲は、もともとはセットリストに入っていなかったが、安田が本番直前にメンバーに頼んで追加した。演奏が終わると、安田は「この『10年後にまた会おうね』っていう言葉で、みなさんが前を向いてくれたらハッピーやなと思ってお願いしたんです。未来は不確かやけど希望を持つことはいいことで、音楽で繫がれることが幸せやと思っております」と楽曲にたいする思いを熱く語ると、村上も「ヤスが急に『象に乗りたい』っていうから、そのせいで歌詞が飛んで出てこおへんかった(笑)。けど、1個1個の歌詞が20年も超えてくると染みてくるわ」としみじみ語った。
MCでは、11年ぶりに5人だけで食事に行った話題に。大倉が横山のほうを向いて「ごちそうさまでした。美味しいお肉を。こういうときに1番年上が出してくるんですよ」と話すと、横山が「いやいや、そのあと2軒目はマネージャーたちと合流したんです。で、お会計のときにカードを出して『俺が全部出すから』っていったら、マネージャーから『もう大倉さんからいただいてます!』って。そんなスマートなことします?(笑)。俺めっちゃイキってカード出してたのが恥ずかしかった!」とクレーム。その姿を見ながら大倉「でもね、結果的には全部ご馳走になって」と村上に振ると、「ええ夜やったな」と笑い合っていた。
後半は青のスーツに着替えて大人の色気たっぷりに、「ハリケーンベイベ」や「Street Blues」などをパフォーマンス。その後、ジャケットを脱いで、“超八”の文字がデザインされたシャツ姿になると、安田が「今から歌わせていただく曲は、ここで歌うことに意味があるんちゃうかってなりました。日本武道館で歌うこのナンバー!」とTOKIOのデビュー曲「LOVE YOU ONLY」を披露。今の事務所でバンドスタイルを築き上げた偉大な先輩グループにリスペクトを込めた。締めのドラム音が鳴り終わると歓声と拍手が鳴り響いた。
そして、横山が母への想いを綴った楽曲「オニギシ」では、青いスポットライトに照らされた5人。横山が今年の24時間テレビのチャリティーランナーとして参加した際に、ゴールを待つメンバー4人が会場で歌っていた曲だ。そのことを後日知った横山が「俺も一緒に歌いたい」と熱望したことで実現した。メンバーの後ろには、それぞれの幼少期の写真が写し出されて思いを重ねた。歌唱後に横山が「最高の親孝行になりました。ありがとうございます」と頭を下げると、会場からは温かい拍手に包まれた。


取材・文/吉岡 俊 撮影/後藤 巧

