
日本でも庶民を苦しめている物価の高騰ですが、実はアメリカでも異常な高騰が続いているといいます。YouTubeも話題、ロシア人の妻と幼い子ども2人を抱えながらアメリカで肉体労働(大工)を主な仕事として生活を送る日本人“地獄海外難民”氏による『底辺の大工、ヤバいアメリカで生きのびる 絶望の中で見つけた「自分を見失わない」方法』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編して、ニューヨーク家族4人暮らしのリアルな生活費事情をご紹介します。
日本以上の物価高騰…異常に上がった生活費
日本でも物価高で苦しんでいる方が多いと思いますが、アメリカでは多くの人が日本以上の急激な物価高に苦しんでいます。1ヵ月生活するのにどれくらいかかるのか、難民家のお金の内訳を紹介します。
まず食費ですが、僕が2019年に移住した頃から、アメリカの食費の高さには驚かされてきました。その後、パンデミックが始まると、食費はどんどん高騰していきます。2023年頃までは月に1000ドル(約15万円)くらいが食費に消えていましたが、2024年の前半からは少しずつ落ち着いてきました。
現在の食費は、家族4人(大人2人、幼児1人。乳児1人は食費がかからず)と猫1匹で、月に700ドル(10万5000円)程度になります。家賃は月に1900ドル(28万5000円)です。
僕がアメリカに移住してきた当時の家賃は1500ドルでした。例のウイルスが大流行して以降、ニューヨークシティからこの地域にたくさんの人が流入してきました。人が密集する地域を怖がる人が多かったからです。
そのため、ここの人口が急増し、しかも高収入なシティの人たちが押し寄せてきたために家賃や不動産価格が一気に上がりました。その結果、3〜4年の間に400ドル(約6万円)も家賃が上がっています。
ただ、1900ドルはこの地域ではかなり安い方です。YouTubeでは相変わらず「難民のくせに豪邸に住んでいる!」とお怒りのコメントをいただきますが、細かなところはボロボロだし、壁が薄いのでお隣の音は丸聞こえです。
ニューヨークの生活費、家族4人の平均は7800ドル(約117万円)!?
次に光熱費は、合計で月300ドル(4万5000円)です。ニューヨークの冬は気温がマイナス15度になることもある地獄の寒さで、パイプが破裂してしまうのを防ぐため暖房を24時間つけっぱなしにしないといけないので、光熱費は異常に高くなります。
次は車のローンです。アメリカは車社会で、この辺りは1人1台車を持っている家が多いです。難民家も2台あり、ローンの支払いに600ドル(9万円)かかります。
そして保険費用が月に260ドル(3万9000円)です。アメリカの健康保険は民間会社が運営していますが、大工組合に入ると、家族全員に質の良い保険を提供してくれます。これが、僕が大工組合に勤める一番の理由です。
この他で大きなものに、車のガソリン代が480ドル程度(7万2000円)、通信費が250ドル(3万7500円)、結婚式などの交際費200ドル(3万円)などがかかります。その他、子ども服、オムツ、コインランドリー代で110ドル(1万6500円)と細かい出費もあります。
ということで、現在の難民家の毎月の支出は、約4800ドル(72万円)です。
日本と比べるとすごく贅沢しているように見えるかもしれませんが、ニューヨークシティの生活費は家族4人で月に平均7800ドル(約117万円)、家族3人で平均5890ドル(88万3500円)なので、難民家は安く抑えられている方だと思います。
移住当時(2019年)の生活費は月3400ドル(51万円)でした。そこから5年間で1400ドルも増えています。長男の分は増えたものの、まだ小さいので食べる量は少ないし、生活水準を上げたわけではありません。パンデミックと戦争による物価の高騰で、ありえないほど生活費が上がったことが原因です。
地獄海外難民
