◆ダンサーとセクシー女優、一番の違いは?

美谷朱音:作品は、監督さん、男優さん、アシスタントさんなどと一緒でみんなで作っていくものですが、もっとも前面に大きく出るのは私の名前です。いろいろな事情があってそこに至っても、「最近の美谷の作品は〜」というふうに語られます。そのあたりのチーム戦ならではの難しさはずっと感じていました。作品が良かったかどうかは、売上やファンイベント、レビューなどの一部の要素で測るしかありません。けれどもROKUSAN ANGELの舞台で踊る以上は、全方向から見てもらえます。
それに関連して、双方向のやり取りがROKUSAN ANGELでは可能なのも嬉しいですね。たとえば私の作品を見てファンの方が満足する姿は見ることがないわけですが(笑)、ROKUSAN ANGELではリズムに乗って楽しむお客さんを見ることができます。そうした違いがあるのではないでしょうか。
――今後の目標などを教えてください。
美谷朱音:一つは、これまでの私をみてくれたファンの人たちに、舞台で舞う自分を見せたいです。そしてもう一つは、ROKUSAN ANGELに以前から通ってくれているお客さんにからも、「美谷がセンターでもいい」と思ってもらえるまで、精進することです。24日はデビューイベントだったのでセンターで踊らせていただきましたが、通常営業になれば端で踊ることもあります。ステージ全体を支えられる力量を早く持てるよう、邁進したいと思っています。また、5月25日には私の誕生日イベントを行えるように、舞台を任せてもらえる存在になることは、直近の目標ですね。
――お誕生日って4月15日ではなかったでしたっけ。
美谷朱音:それは女優としてのデビューにあたって、事務所が与えてくれたものなんです。常々、誕生日イベントでファンの方に集まってもらったとき、「ファンのみんなも本当の誕生日じゃないってわかっててお祝いしてくれてありがとう」と思っていました(笑)。ダンサーとしては、プロフィールも素に近づけられるので、よりお客さんとの心理的な距離も縮まったかもしれません。そんな新たな美谷にも注目してもらえたら嬉しいです。
=====
ひょんなきっかけから国民的セクシー女優への階段を上り詰めた美谷さん。言葉に嘘がなく、何事にもまっすぐに打ち込むひたむきさが伝わってくる。美谷さんにとってのダンサー転身は、容姿に恵まれたダンス経験者の勝ち戦ではなく、常に新たな自分にアップデートしていく彼女の途方もない挑戦だ。そんな女傑が舞台で咲く姿を見てみたい。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

