◆大規模投資を支えるドバイ政府との提携

これは、エミレーツ航空が単なる一企業ではなく、ドバイという都市のインフラであり、経済成長のエンジンそのものであることを示している。ドバイ政府が、世界的なハブ空港としての地位を維持・強化するために、エミレーツ航空の強力な後ろ盾となり、大型投資を可能にするという戦略的協力関係が土台にあるのだ。
投資は航空機材だけでなく、ロールスロイスと提携したエンジン整備の自社化や、フランスの航空部品メーカーであるサフランと提携した航空座席の製造、SAF(持続可能な航空燃料)の国産化など多岐にわたる。利用者にとっては、機内でスターリンクWi-Fiが利用できるなど利便性もアップする。
エミレーツ航空がドバイエアショーで行う巨額の発注は、「私たちは将来も航空業界をリードし続ける」という強い姿勢を示すメッセージを世界に発信しているのである。
◆世界の空の主役が変わり始めた 注目を集めた出展者たち


長らく欧州のエアバスと米ボーイングの民間航空機メーカー「二強」時代に挑戦状を叩きつけているのが、中国のCOMACである。彼らが開発した新型のナローボディ機「C919」は、アジア以外では初めて飛行展示を披露し、大きな注目を集めた。
C919は、エアバスのA320やボーイングの737といった、私たちにとって最も身近な路線で使われる機体のライバルである。COMACは、これまで自国の需要を頼りに成長してきたが、このドバイの地で機体を世界に披露し、「これからは世界の空でも存在感を発揮する」という強い意志を示した。

