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「築30年程度」「実質利回り15%以上」が勝ち筋物件?地方戸建て投資の“買う・買わないの判断基準”

「築30年程度」「実質利回り15%以上」が勝ち筋物件?地方戸建て投資の“買う・買わないの判断基準”

不動産投資をする際に物件選びは、当然ながら重要になります。ただ、一口に“いい物件”といっても、都市部や地方などのエリアによってその基準は異なります。では地方戸建て物件に投資する場合、どのような条件で選定すればよいのでしょうか。本記事では、宮崎俊樹氏の著書『空き家は使える!戸建て賃貸テッパン投資法 2ndエディション』(技術評論社)より、地方戸建て投資家が購入したほうがいい物件、そうではない物件の判断方法について紹介します。

狙いは「実質利回り15%以上」の物件

地方戸建て物件の不動産投資に関する、物件選びの基準の話をしていきます。下調べのためにネットで物件検索するときに、どのような物件をターゲットにしていけばいいのでしょうか。

物件には利回りが記載されています。この利回りは表面利回りであり、年間の家賃収入の総額を購入価格で割ったものです。
 

表面利回り = 年間賃料 ÷ 購入価格 × 100


「利回り〇〇%! 高利回り物件お急ぎください!」なんてキャッチが出ていることがありますが、あくまで表面利回りですから物件の修繕にいくらかかるのかわかりません。いくら表面利回りが高くてもリフォームに湯水のようにお金がかかったり、空室率がどうしようもなく高いエリアで客付けが見込めなければ意味がありません。

筆者は、実質利回りで15%以上を目標にしています。ここでの実質利回りは次のように求めます。
 

実質利回り = 年間賃料 ÷(購入価格 + 初期費用 + リフォーム費用)× 100 


表面利回りはリフォーム費用などのコストが反映されていないので、かなりおおまかな数字です。空き家の場合には想定している賃料で入居が決まる保証はありませんから、どれくらいの賃料なら決まりそうか、リフォームにはいくらかかるのかを自分で調査する必要があります。

実質利回りに話を戻すと、「初期費用」は仲介手数料、登記費用、固定資産税の日割りなどです。筆者が投資するエリアでは戸建ての賃料はだいたい5〜6万円ですから、実質利回り15%以上を目指すためには、物件価格帯300〜400万円が1つの目安となります(もちろんエリアによって賃料の相場はまったく異なります。必ず地場業者にヒアリングして賃料相場を確認してください)。

この価格帯の物件にかかる初期費用の目安はだいたい物件価格の10%程度です。ですから約30〜40万円となります。

なお、実質利回りの計算にランニングコスト(管理費、火災保険料、固定資産税、入退去時の修繕費など)を含めない理由は、戸建てではランニングコストのなかで修繕費の比率が高くなるからです。修繕費はいくらかかるのか、いつ生じるのかの予測が難しいコストなのでここでは省いて計算しています。それでも表面利回りよりは正確な利回りを計算できます。

ここで1つお断りしておきたいのが、物件は利回りだけでは判断できないということ。総合的に判断する必要があります。戸建てにはいくつも評価すべき要素(※1)があります。たとえば土地の資産価値、築年数、立地、建物の間取りや設備などなど……。一概に利回りだけで判断してはいけません。
 

※1 評価すべき要素

物件の価値や将来的なリターンを判断するにあたって考慮すべき主なポイントとして以下がある。

立地→物件周辺の交通アクセス、商業施設や教育機関の有無、治安、地域の発展性など立地条件は物件の価値や賃貸需要に大きく影響する。

建物の状態→築年数や外観・内装の劣化具合、構造上の欠陥(基礎や屋根の状態など)を確認し、修繕コストを予測することが必要。


また、筆者は地方に特化して戸建て投資をしているので利回り15%超えを目標にしていますが、都市部の物件であれば資産性が高くなるため、おのずと利回りは下がることになります。地方と同じように平成築で利回り15%を条件に探しても該当するような物件は見つけられないでしょう。都市部寄りの物件を狙うなら利回りを下げて検討する必要があります。
 

市場価格との比較→同じエリアにある類似物件と比較して適正価格かどうか、購入後の価値の伸びしろがあるかどうかを見極める。

法的規制や権利関係→再建築の可否、接道義務、土地の権利関係(借地権や抵当権の有無など)も慎重に確認すべきポイント。

平成築の物件ならリフォームコストを抑えられる 

実質利回りを高めるためにはリフォーム費用を抑えることがキモになります。リフォームコストに大きく関係するのが物件の築年数で、筆者は築年数30年程度の平成築の物件を強くプッシュします。

築年数が若ければそれだけ物件価格が高くなります。一方、築年数が古すぎれば安く買えますが、リフォームに多額の費用がかかってしまいます。そこまで古くはなく、かつ価格が抑えられている築30年程度の物件が実質利回りを高めやすいと考えています。

以前、筆者の知人が50年近い築年数の戸建て物件を購入しました。外壁は数年前に塗装済みで新しいユニットバスも入っています。リフォームはそれ以外の内装のみになるので、それほど費用はかからないだろうと踏んでいました。「かかっても80万円くらいかな」とノンキに構えていたのですが、実際の費用は130万円。

これだけ年季が入るとどうしても建物のあちこちにガタがきているので、あとになってから思わぬ修繕が発生してコストがかさみやすくなります。筆者が所有する物件のほとんどは平成築です。平成築であればまだ使える設備が多く、目に見えない瑕疵で予想外に修繕費用がかかりすぎることがあまりありません。

また、1981年(昭和56年)6月1日以前の築古物件は旧耐震基準の物件で、地震による倒壊リスクという問題もあります。阪神淡路大震災で倒壊した家屋の多くが旧耐震基準の建物だったといわれています。

地震で建物に大きな被害が及べば賃料収入がなくなることはもとより、復旧にも多額の費用がかかります。地震保険があるから大丈夫と考えるかもしれませんが、保険ですべてを賄うことはできません。

地震で家屋が倒壊してしまった場合、地震保険では家を建て替えられるような保険金は入ってきません。地震保険には、保険金額が火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内という決まりがあります。しかも旧耐震基準の物件では地震保険の保険料が高くなる可能性もあります。

リフォームに話を戻すと、物件の間取りでもリフォーム費用は大きく変わってきます。地方ではボリュームのある5LDKなどの物件もたくさん見つけられます。このような物件は子どもの多いご家庭に人気で需要はあるのですが、いかんせんリフォーム費用が高くなってしまいます。退去後のクリーニングも大変なので、あまりおすすめできません。かといって1DKや1LDKのような小ぶりの戸建てではファミリー需要を取り込めません。

ではどれくらいのスペックが適当かというと、筆者は3LDK、4LDKの物件がよいと考えています。これくらいの間取りならファミリー需要を取り込めますし、リフォームでお金がかかりすぎることもありません。

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