激安物件はスピード勝負!ただしやみくもな買付はいけない
物件検索で「これはいいかも」という物件が見つかったら、すぐに問い合わせをしましょう。その物件がお宝物件であれば、ここからはスピード勝負です。メールで問い合わせるなんて悠長なことをやっている場合ではありません。すぐに業者に電話を入れて内見の予約をとってください。
業者の都合がつかず、すぐに内見に同行してもらえない場合には、筆者はとりあえず住所を聞いて外観だけでも確認しに行きます。そこで買付を入れて(※3)、後日内見させてもらうこともあります。
※3 買付を入れる
買付証明書を仲介業者宛てに送る、もしくは直接渡すこと。不動産を購入する意思を表明することをいう。買付証明書を業者の店舗で書いて直接担当者に渡す場合もあれば、内見後少し検討したあとにFAXで送る場合もある。買付証明書に法的な拘束力はないが、買付を入れて売買契約を結べば、そう簡単に契約解除することはできなくなる。
もし契約後に購入を破棄すれば契約違反によって違約金が発生する。違約金は売買代金の10~20%。売買契約前の買付の段階であれば取り消すことができると考えるのは非常に危険。その行為は仲介業者の信頼を裏切ることになるので、今後その仲介業者とのおつき合いは望めなくなる。買付を入れる際は、よほどのことがない限り間違いなく購入するというところまで気持ちを固めることが必要。
なぜなら、購入順序は満額の買付であれば買付を入れた順になるからです。もし後日の内見時に深刻な瑕疵が見つかるなどしたら買付を取り下げることもできます。買付時に出す買付証明書は契約書でも何でもありません。買付を破棄してもペナルティはありません。 ただし、初心者の方にはこの手法はおすすめしません。
筆者の場合、買付を入れるのは、特別な瑕疵などが見つからない限りほぼ間違いなく購入すると腹を決めているときです。買付を入れたのにそれをあっさりくつがえすような人は確実に業者から嫌われます。買付を破棄した人には二度と物件を紹介しないという業者もあります。
そういうわけで外観の確認だけで買付を入れることは初心者の方向けではありません。じつは、この外観だけを確認して買付を入れる方法は転売業者がよくやる手なのです。転売業者の動きはそれこそめちゃくちゃ速く、あっという間に物件を自分のものにしていきます。
以前こんなことがありました。朝方に物件検索していて格安物件を発見。おそらく前日の夜遅くにネットにアップされた物件なのでしょう。すかさず物元業者に連絡を入れ、内見のアポをとり、その日のうちに内見に向かいました。物件は格安のわりにピッカピカで、明らかに価格設定が間違っているようなお宝物件でした。
その場で即、「買います、すぐ買付を入れます」と申し出たところ、なんと前の晩のうちにFAXで買付が入っていたというではありませんか。それなら内見前にいってくれよと思いましたが、その物元業者はかなり年配の方が切り盛りしており、内見に向かう少し前のタイミングでFAXに気がついたそうなのです。
ということで、筆者は二番手。一番手が見送らない限り買えません。一番手の人は夜半のうちに物件の外観だけを確認して買付を入れたそうです。おそらく素人のなかでは筆者は最速の動きをしたと思います。そうなんです。この一番手は転売業者さん!
彼らはレインズという不動産業者だけが閲覧できるサイトで物件の住所を取得できます。それで物元と連絡がとれない夜間でも物件の外観を確認できたというわけです。安い物件はスピードが命ですが、素人が業者にスピードで勝つのはほぼ不可能です。筆者はこのとき一番手になった転売業者とこのあとも何回か競り合っているのですが、いままで一度も勝てたことがありません。
投資家が手を出すべき「テッパン戸建て物件」の特徴
最後に、地方戸建て投資家が手を出す物件、出さない(ほうがいい)物件についてまとめます。まず、戸建て賃貸の主なターゲットはファミリーです。彼らにとって手狭な1LDKや2LDKは避けたほうが賢明といえます。コロナ禍以降はテレワークが一般化したため、仕事部屋が必要になるケースも増えています。先ほどお話ししたように、3LDKや4LDKの広めの間取りが好まれる傾向にあるでしょう。
立地条件は、都市部とは違って駅からの距離はそれほど重要ではありません。むしろスーパーや学校、幹線道路にアクセスしやすい場所が好まれます。とくに学校が近いことはファミリー層にとって大きなプラスです。
駐車場を2台分以上確保できる物件は、地方ではとても高い評価を受けます。地方はどこも車社会ですから駐車場の広さが入居の決め手になることも少なくありません。
そして絶対に忘れてはいけないのが清潔感。とくにお風呂、キッチン、トイレという水回りの清潔感は賃貸が決まるか決まらないかを大きく左右します。家庭での決定権を持つことが多い女性がとくに重視するポイントですね。清潔感がなければどれだけ条件がよくても賃貸は決まらない、くらいに考えてよいと思います。つまり、リフォームやメンテナンスには力を入れなければいけないということです。
番外編としては、俗にいう「ポツン物件」も一部の人たちに人気があったりします。周囲に何もない“孤立した”物件です。賃貸需要も何もなさそうに見えても、なかにはプライバシーを最重要視したい人もいて、そういう志向の人たちには好評なのです。とくに庭や駐車場に十分な広さがあるとポツン物件の魅力はさらに高まります。
