利回り20%オーバーでも買わない物件
不動産投資をしたい人にとって一番気になる数字は利回りでしょう。筆者の基準は実質利回りで15%以上です。ただし、それを上回って20%以上を狙えるとなってもなかには手を出さない物件もあります。
1つ目は自宅から遠く離れた物件。筆者は基本的に、遠方物件は利回り20%以上でも購入しません。物件まで片道2時間としたら往復で4時間、現地での作業時間を加えると1日がかりになってしまいます。単純に遠方物件のすべてを切って捨てているわけではなく、賃料が高く時間と労力に見合う収益が見込めるのなら考慮に値しますが、それでも何度も訪れる必要がある物件であれば、その負担はかなりのものになります。
そういう意味でDIYを考えている人には遠方物件はおすすめしません。DIYは繰り返し物件に足を運ぶ以上、そこでかかる時間と労力も含めて考えると投資効率がとても悪くなってしまいます。
また、筆者は利回りが高かったとしても賃料が安すぎる戸建ては購入しません。なぜかというと、賃料が安いと修繕費用の回収に時間がかかるから。つまり、家賃に占める修繕費率が高くなってしまうことが理由です。
賃料が3万円でも10万円でも、修繕にかかる費用はそれほど変わりません。大家には修繕義務があります。賃料が安いから修理しないという選択肢はありません。賃料3万円の物件が高い利回りを示していても、実際には修繕費の割合が高くなってしまい期待ほどの収益が出ないことがよくあります。
手を出すかどうかを測るモノサシは利回りだけではありません。自分の時間、労力、物件の資産性、残存耐用年数(※4)、キャピタルゲイン(売却益)……。利回りが大切なのは間違いありませんが、経験を積んだ戸建て投資家は利回りだけにこだわって手を出すことは決してしません。
※4 残存耐用年数
建物や設備が法的に、または経済的に使用できるとみなされる期間のこと。耐用年数は税務上定められたもので、減価償却の計算基準となる。たとえば木造物件の耐用年数は22年、RC造の物件の耐用年数は47年と定められている。残存耐用年数は、築年数や建物の状態を踏まえて、現時点で今後どれだけ使用可能かを示す期間。資産価値や融資審査に影響を与える要素の1つ。
宮崎 俊樹
不動産投資家
サーファー薬剤師
