今後の注目ポイント
現在の市場は、個人投資家の心理が「かなり弱気だ」と見られ、暗号資産の「恐怖と強欲指数」は2022年末以来の最低値である「極度の恐怖」の領域に深く入り込んでいます。
アナリストの一部では、今回の下落は「4年サイクル」が再び働き、年末にかけてさらなる下落余地があるとの見方が強まっています。ビットコインは2017年の急騰後、翌年に約75%暴落するなど、ブームと崩壊のサイクルを繰り返してきました。
しかし、今回の価格調整は一過性との見方も根強いです。ビットコインは約4年に1回の「半減期」を迎えますが、2024年4月に4回目の半減期を迎え、過去の経験則では、半減期後の調整局面を経て、中長期で見れば右肩上がりを続けているからです。
米ドル購買力の低下と代替資産としての地位
【画像出典元】「stock.adobe.com/Pixel Stone」
長期的なビットコインの価値を支える構造的な問題が米国にはあります。米ドルの購買力がこの40年超で7割低下していることが、長引くインフレとドルへの信認低下へのヘッジとして、ビットコインを購入する動機に繋がっていると市場関係者はみています。米国のビットコイン保有者はすでに5000万人程度に達しており、国民全体の14%程度を占めています。
さらに、米ハーバード大学が4.4億ドル相当のビットコイン現物ETFを保有していることが開示されており、伝統的な資産運用からの脱却と高度な運用が、機関投資家の間で不可欠になりつつあることを示唆しています。
日本においても、円安や物価高といった課題があるため、ゴールド(金)などに続き、代替資産としての暗号資産に注目が高まる可能性があります。今後の市場回復は、米国の規制整備が新たな市場拡大を生む流れに日本が乗れるかどうかが鍵となるでしょう。