カードケース状の記憶器・暗誦器
さて、優待券は集められなかったが、ゼブラ印の記憶器は、幸運なことに探し始めてほどなく見つけることができた。
ゼブラ印に限らず、単語カードと記憶器は、意外と骨董市やアンティークショップなどでいろいろな種類が見つかったので、順に紹介していこう。
最初にゼブラ印高木カード社の暗誦器だ。サービス券を集めてもらえるタイプは2種類あるようだが、それ以外の種類もあり、色やサイズ、形のバリエーションが多い。カードを入れるだけなので、機能としては特段面白いわけではないが、セルロイドの色と質感、ゼブラのマークや文字の字体が素敵だ。



使い方はどれも同じで、中にセットしたカードの片面だけ見える窓が開いている。反対面を確認するときは、ケースから抜き出す。その後はまたケースに戻す。それを繰り返すとカードが一巡するようになっている。
ケースの底面に当たる部分が、カードを上にもちあげるバネのような作りになっており、一定量のカードが入っていれば、カードを1枚抜いても、窓の部分に次のカードが押し上げられた状態になるように作られている。
*このタイプの記憶器・暗誦器の特許画像。右の図のように底面が挙げられている。なお、高木カード社は単語カード、記憶器ともに特許の登録はないと思われる。
このタイプの暗誦器・記憶器は類似のものが複数メーカーから出ているので、一時期定番であったのであろう。また、並べてみると特許の番号が入っているものが多いことに改めて気づいた。簡単な構造の道具なので、チョットした工夫を追加しやすかったであろう。
残念ながら、これらの特許の情報は特定できなかったのだが、下段右端のNEW AUTOMATICCARD-CASE(No.282926)について時代が特定できた。
早稲田式英語単語練習器という名称で、昭和16年の早稲田大学出版部の雑誌の広告に掲載されている。また、特許を見ていくと同様のカードケース型記憶器・暗誦器が昭和14年以降に見られることから、大体そのころに使われだして、昭和30年代頃まであったと推測される。
※『早稲田大学建築講義』16,早稲田大学出版部,昭和16. 国立国会図書館デジタルコレクション
https://dl.ndl.go.jp/pid/1023101 (参照 2025-12-10)より
*色や形がかわいらしい単語ケース
*特定できないが形が似ているので前出のピンクと緑のカードケースの特許ではないかと思われる。昭和14年(実公昭14-017871)
*木製の単語暗誦器。木製にすることでどういう特長を出したのか、特許の申請内容を見てみたい。
カードケース状の記憶器・暗誦器用の白カード
この暗誦器・記憶器にセットして使う用紙は、穴が開いていない少し厚手の紙でできた「単語カード」である。暗誦器・記憶器のサイズは大体同じ形・サイズなのでカードもメーカーが違っても汎用的に使えたと思われるが、記憶器・暗誦器を作っているメーカーはほぼ単語カードも作っていたようだ。
ちなみに、このただの白い単語カードをコレクションする上での魅力は、パッケージのデザインや、暗誦器とセットのものだと嬉しいといったところだ。ここでは、カードケースのデザインを紹介しておこう。
*高木カード社ゼブラ印の単語カード
*昭和20~30年代頃だろうか。単語カードといった教材に近いものは地味なデザインが多いのだが、これらは色鮮やかで華やかなデザインだ。右上の「KARD」は意図的なものかCARDのスペルを間違えたのかが気になる。
*三英社時代のサンスター文具の記憶器と専用単語カード(白カード)。三英社からサンスター文具への社名変更は昭和34年。
