高市早苗内閣の支持率は高いが、解散権は連立与党・日本維新の会によって事実上封じられている。選挙制度論や定数削減の綱引き、予算編成と特例公債法の難関を抱える中で、今期は「増税阻止」に全力を注ぎ、景気回復と安全保障で成果を示せるかが政権の命運を分ける試金石となりそうだ(以下、憲政史研究家・倉山満氏による寄稿)。

◆「1月解散」の声も聞こえるが大義名分はあるのか
高市早苗内閣、相変わらずの高支持率である。期待値の高さか。初動の外交で成功したのも、大きかろう。東北地方を中心とした熊害での対応の遅れは問題にされていなし、一国の首相に対し「お前の汚い首を叩き斬ってやる」と大暴言を吐いた中国総領事もいまだお咎めなしだが、まだまだ高市首相への期待値は高い。
70%の支持率があったら、どんな総理大臣でも解散したい。「1月解散」の声も聞こえてくる。人によっては、「これより上がることないんだから、今の内に解散すべきだ」とも。
さて、1月解散だとして、何日に投票か。毎年1月末に予算を審議する通常国会を召集するので、1月解散だと、その前に投票日を迎えておくことになる。仮に一番後ろの25日日曜日の投票だとして、公示日は12日前の13日火曜日。振替休日の翌日だ。では、それ以前の正月早々に臨時国会を召集して、冒頭解散? 大義名分は?
◆解散権を維新が封じているようにしか見えない
連立与党の日本維新の会は、「成果を出してから」「定数削減は譲れない」と発信している。果たして50議席も、一気に削れるのか。「次の解散は、定数削減の後で」「その時の選挙制度は中選挙区制になろうか」と続く。そして、「与党が一丸となって定数削減に突き進み、そこで野党の抵抗に直面したら、その時は解散の大義名分になるのではないか」となる。これ、高市首相の解散権を、連立与党の日本維新の会が拒否権を行使し、封じているようにしか見えない。
そもそも、ほぼ全野党が反対する中、与党だけで議員の身分を削減する法案を強行するのに、大義があるのか。しかも短時日(たんじじつ)で。

