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支持率70%の高市首相が「解散できない」維新との舞台ウラ/倉山満

支持率70%の高市首相が「解散できない」維新との舞台ウラ/倉山満

◆選挙制度の改革は「一大事業」

 仮に選挙制度を変えるとなると、一大事業だ。平成の政治改革では、海部・宮澤の二代の内閣が吹っ飛んで、政権交代した細川内閣でようやく実現したほどの、大事業だ。

 政界には、現行の小選挙区比例並立制をやめたい意見が強いのは分かる。だから中選挙区制に戻したいとの主張も分かる。ただし、中選挙区制(正確には、大選挙区単記非移譲式と言う)は、人類が考え出した最悪の選挙制度とも評される。この制度、泣きたくなるくらい死票(有権者の一票が無駄になる)が多くなる。民主主義が成立しないとも言われる。

 よって、「また、アレに戻すのか?」との批判も強い。そこで、「中選挙区制に戻せ」論の主流は、「連記式にしよう」である。かつての中選挙区制が「一つの選挙区から一人しか選べない制度」だったのを、「複数選べるようにしよう」が連記式である。

 ただし、完全連記か制限連記か、「中選挙区制に戻せ」論者の中でも、まとまりがない。たとえば、その選挙区が定数3だとして、3人全員の名前を書けるのが完全連記、2人の名前を書くのが、制限連記。これ、「5人だった場合どうするのか」の議論もある。

 ちなみに「移譲式」とは、同じ党から候補者が出ていると、片方の候補者の当選が確定すると、別の候補者に票が上積みされる。この制度の利点は、票割りがないこと。票割りとは「お前はA候補に入れろ、お前はB候補にいれろ」のように、ボスが有権者に指示して共倒れを防ぐこと。かつての中選挙区制では非移譲式だったので、票割りが上手い者がボスになった。個人の意思、関係なし。

◆今の高市氏の力では増税阻止が限界

 選挙制度の変更までやると、どの選挙制度にするかで、絶対にまとまらない。ちなみに、「順位付小選挙区制」という制度もある。この制度、「たった一つを除いて、世界で最も優れた選挙制度」と言われている。その一つとは、ムチャクチャ面倒くさい。よって、説明省略。

 私もどの制度にするのか、現行制度をやめようとしている議連の代表者に聞いてみたが、「そこまで詰めていない」だった。

 そもそも、1~3月は解散してはならない時期である。予算審議があるからだ。むしろ、肝心の予算編成が行われているのは、年内だ。解散時期に集中させることで、予算から目をそらせようとする、誰かの陰謀かと勘繰りたくなる。高市首相は減税志向だが、黒幕たちはすぐに増税をやりたがるので、国民が監視を怠ると、知らない内に増税されている羽目になりかねない。

 正直、今の高市首相の力では、増税阻止が限界である。首相個人の人気は高いが、政権基盤が弱すぎる。だから、年内は「すべての増税を潰す」に専念して良いのではないか。とにかく、予算で増税をいれないだけで十分。既に決まっていた、ガソリン減税は年内に行うようだ。既にアナウンス効果が出てガソリンの値段は下がっている。103万の壁をどこまで引き上げられるかは焦点であるし、トランプ関税対策で企業の設備投資減税も盛り込むようだ。

 満点と言えるかどうかはともかく、悪い流れではない。


配信元: 日刊SPA!

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