◆水族館で順番を無視して割り込んでくる

水族館には多くの外国人観光客の姿も見られた。しかし、そこで不快な出来事に遭遇することになる。
「うちの娘は身長80cmほどで、水槽の前に立って一生懸命に魚を見ていたところ、アジア系の外国人の夫婦がその視界を遮るように割り込んできたんです。
誰もが順番に見ているなかで、まるで娘の存在を無視しているかのようで、その場を動こうともしない。幼い子どもの目線など全く気に留めていない様子に、私は苛立ちを覚えました」
その後、イルカショーの時間が近づき、石川さん一家は2列目の席に座った。前回の訪問時、イルカショーは比較的おとなしめで水をかぶることもなかったため、妊娠中の妻にも問題ないだろうと判断しての選択だった。
しばらくして、妻がポップコーンを買いに立った隙に、なんと先ほどのアジア系の外国人夫婦が近づいてきて、妻が座っていた席に勝手に腰を下ろしたという。
「私は英語の教師なので、『そこは妻の席だよ』と英語で伝えましたが、彼らは言葉を理解できないフリをして動こうとしません。妻が戻ってきても席は譲られず、結局、私たちは後方の空席へと移動することになりました」
自分さえ良ければいいという考え方なのだろうか……。
◆イルカの大ジャンプで“天罰”がくだる
ショーが始まると、前回とは打って変わって、イルカたちは大ジャンプを繰り返し、前列の観客は派手に水しぶきを浴びていた。石川さん一家が最初に座っていた2列目も例外ではなく、あの外国人夫婦はずぶ濡れになっていたそうだ。
「派手に叫びながら濡れた服に戸惑っている彼らを、後方から少し冷めた気持ちで見つめていました」
水族館を後にして近くのユニクロに立ち寄ったところ、ずぶ濡れになったその外国人夫婦が新しい服や下着を購入していたという。
「彼らが席を譲らなかったせいで不快な思いをしましたが、結果として私たちは濡れずに済みました。ずぶ濡れになって“バチが当たった”と感じた瞬間、ようやく私の怒りも収まりましたね」
——外国人観光客の数は増加の一途を辿っている。それに伴い、「嫌な思いをした」という日本人が少なくないことも事実なのだ。
<文/藤山ムツキ>
【藤山ムツキ】
編集者・ライター・旅行作家。取材や執筆、原稿整理、コンビニへの買い出しから芸能人のゴーストライターまで、メディアまわりの超“何でも屋”です。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』『10ドルの夜景』など。執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ』シリーズほか多数。X(旧Twitter):@gold_gogogo

