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「うちに大した財産はないから大丈夫」という誤解…争続の78%は〈遺産額5000万円以下〉という驚愕の事実

「うちに大した財産はないから大丈夫」という誤解…争続の78%は〈遺産額5000万円以下〉という驚愕の事実

トラブル防止のためにも、相続実務には配慮を

実際の相続の場面では、生命保険金も「相続の一部」として感情的に受け取られることがあります。受取人が高額な保険金を受け取っていた場合、「不公平だ」と他の相続人が反発するケースもあります。法的には正しくても、こうした感情の行き違いがトラブルにつながることもあるため、生前に「誰のために、なぜこの保険をかけたのか」を伝えておくことが大切です。

なお、契約の内容によっては、生命保険金が相続財産に含まれることもあります。たとえば、受取人が指定されていなかったり、契約者・被保険者・受取人がすべて被相続人だった場合などです。解約返戻金のある保険契約も、解約返戻金相当額が相続財産となります。

誤解のないよう、契約内容を確認し、不明な点は早めに専門家に相談するのが安心です。

相続人が複数の場合の「遺産分割協議」とは?

相続財産の分け方を決める話し合い

遺産分割協議とは、相続人が複数いる場合に、誰がどの財産をどのように相続するかを話し合って決めることです。法定相続分はあくまで目安であり、相続人全員が合意すれば、自由な分け方が可能になります。
 

[図表4]遺産分割協議とは?


ただし実際の協議では、「長男が親の介護をしてきた」「妹は生前に住宅資金の援助を受けていた」といった事情が持ち出されることも少なくありません。こうした場面で関わってくるのが、寄与分や特別受益という考え方です。寄与分は、親の介護や事業の手伝いなどで財産の維持・増加に貢献した相続人に、その功績を考慮して相続分を上乗せする仕組みになります。

一方、特別受益は、生前に特別な贈与を受けた相続人について、その分をすでに先にもらったものとして扱い、相続の際に公平を図る考え方です。
 

[図表5]4つの分割方法


このように相続には、単なる法定相続分の計算だけでは解決できない感情や事情が絡みます。そのため、ときに意見が食い違ったり、感情的になることもあります。だからこそ遺産分割協議は単なる「財産の分け方の話し合い」ではなく、家族の関係性や今後のつながりを見据える時間でもあります。誰かが得をして誰かが損をする、という視点ではなく、全員が納得できる落としどころを探る「調整の場」として捉えることが大切です。
 

スムーズな協議は互いの歩み寄りから

相続人のうち一人でも合意しなければ協議は成立せず、不動産の登記や預金の解約なども進めることができません。だからこそ、互いの立場や想いに配慮した「歩み寄り」がスムーズな合意の鍵となります。

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