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「この人でなし!」亡き母の〈タンス預金8,000万円〉が原因で50代姉妹が“絶縁寸前”の大ゲンカ…骨肉の相続争いに終止符を打った「1通の封筒」の中身【CFPの助言】

「この人でなし!」亡き母の〈タンス預金8,000万円〉が原因で50代姉妹が“絶縁寸前”の大ゲンカ…骨肉の相続争いに終止符を打った「1通の封筒」の中身【CFPの助言】

令和5年度の司法統計によると、家庭裁判所に申し立てられた相続に関する争い件数は13,872件でした。毎日のようにどこかで起きている相続トラブル、決して他人事ではありません。「ウチは仲が良いから大丈夫」「子どもたちでうまくやるだろう」といった家庭ほど、いざその時になるとトラブルに発展してしまうもの。円満な相続を実現させるため必ず押さえておきたいポイントについて、事例をもとにみていきましょう。

タンス預金8,000万円がもたらした「修羅場」

Aさん(58歳)とBさん(54歳)は、離れて暮らす姉妹です。この度、一人暮らしをしていた母が亡くなり、実家に集まりました。

通夜に葬儀、初七日法要、それに諸々の手続きも済ませ、昔話に花を咲かせながら実家を整理していたところ、仏壇下の引き出しのなかに、見慣れない通帳が……。

開いてみると、なんと約8,000万円もの残高が残っていたのです。

若い頃から質素倹約を美徳としていた気高い母は、父の遺産に手をつけず、最後まで慎ましく生きたんだ……姉妹は母を偲びます。

しばらくして現実に戻った姉妹。姉のAさんは、すかさず妹にこう告げます。

「このお金、平等に折半でいいわよね?」

姉の一言に怒り心頭の妹

Bさん「姉さん、なに言ってるの……? ふざけないで。いいかげんにしてよ! 姉さんはお父さん(8年前に死去)のときも、お母さんが寝込んでも、ほとんど帰ってこなかったじゃない。それなのに、お金だけもらおうなんて……この人でなし!」

実は、Aさんは遠くに住んでいることを口実に、両親の世話を実家近くに住むBさんに押し付けていたのです。

父が亡くなった当時も、Aさんは遺産相続の話ばかり。Bさんが「私たちは生活できているんだから、お父さんの遺産はお母さんにすべて渡そうよ」と説得して、Aさんも「母さんが亡くなったらでも遅くないか」と、渋々了承したのでした。

そんな経緯もあったBさんは、姉の言動に激怒、そして、妹が反抗するとは思っていなかったAさんも逆ギレ。

長年のうっ憤が爆発した妹と、妹の予期せぬ反抗に焦る姉……絶縁寸前、泥沼の相続争いに発展するかと思われましたが、事態はまさかの結末を迎えます。

母が遺した“もうひとつのプレゼント”

言い争いがヒートアップするなか、Aさんがなんとなく仏壇に目をやると、通帳がしまってあった引き出しに、1通の封筒を発見しました。封筒には「遺言書」と書いてあります。

すかさず封を開けようとしたAさんに、Bさんが「ちょっと待って、勝手に開けると遺言の内容が無効になるかもしれないって、前にテレビでみた気がする」

二人はこの遺言書の扱い方がわからず、近くの弁護士事務所を訪ねました。その結果、この遺言書は「自筆証書遺言※」といって、封を開けるには家庭裁判所で検認の手続きが必要であることが判明します。

※参考:自筆証書遺言を法務局に預ける「遺言書保管制度」を利用すれば、遺言者が死亡した時に相続人などに通知され、家庭裁判所の検認も必要なくなる。

ひとまず検認の手続きを終えた姉妹

後日、裁判所からの呼び出しがありました。相続人(姉妹)と裁判所の職員が立ち会い、遺言書を開封して、日付・筆跡・遺言者の署名・本文を確認します。

遺言書には「私の資産は、遺留分のみAに渡し、あとはすべてBが受け取るように」と、母の字でハッキリ書かれていました。また、いつも見守ってくれたBさん家族へ感謝の気持ちが綴られています。

Aさんの「こんなの無効よ!」という叫びが空しく響きます。

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