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韓国で外国人が「不動産を爆買い」の果て…大統領執務室の“隣地”を「中国政府」が取得。韓国人が怒る〈不動産逆差別〉の全貌

韓国で外国人が「不動産を爆買い」の果て…大統領執務室の“隣地”を「中国政府」が取得。韓国人が怒る〈不動産逆差別〉の全貌

政府の強力な規制対応

国民の世論の高まりを受けて、韓国政府は本年8月26日、ソウル市内全域と同市に隣接する水原市・城南市・高陽市など23市郡、同じく近隣の仁川市内の7地域を「外国人土地取引許可区域」に指定。外国人(外国法人・政府を含む)が一定面積以上の土地を購入する場合に、事前の許可を必要とする「事前許可制」を導入した。

SOHO等の小規模ビジネスに使用される目的で取引される「オフィステル」を除き、外国人が区域内で住宅を購入する場合、事前の許可に加え、引き渡し後4ヵ月以内に入居と、2年間の実居住義務が課せられる。違反した場合は、土地取得価額の最大10%の履行強制金が賦課されるされる厳しい内容だ。国土省はこれを「外国人の爆買いによる価格高騰を防ぐ措置」と説明している。

また、野党「国民の力」党からは、外国人が保有する住宅への資産税を内国人の2倍、地方税である住宅取得税を30%(30億ウォン超の不動産は50%)引き上げる法案を上程。さらに、譲渡所得税を2倍化するほか、現在、非課税になっている非居住者の賃料収入への課税などを盛り込んだ方針も示されている。

「事前許可制」導入による効果

このような抑制策の効果か、外国人による土地取引は減少傾向にある。マンション等の集合住宅を購入し、所有権移転登記を終えた外国人は本年1月606人に。許可制が導入された8月には1,051人まで7ヵ月連続で増加したが、9月は976人に減少し、10月には560人と、半分程度まで急激に減少した。これは、2023年4月(427人)以来、最も少ない結果となった。

現地メディアの報道によると、業界関係者は「土地取引許可制の施行により、土地取引のハードルが高まった」と指摘している。 

取引前にチェックすべき、外国人特有の「壁」

日本人が相続した韓国の不動産を売却したり、韓国の不動産による投資を考えたりと、韓国で不動産取引を行う場合、内国人にはない特別な手続きや税制上の制約が存在することを理解しておく必要がある。

1.外国人特有の登記用登録番号と住所証明

韓国の不動産登記簿上の名義人は、氏名や住所のほかに、住民登録番号で特定されている。しかし、外国人は住民登録番号がないので、これに代わる「不動産登記用登録番号」を、実際に不動産の残代金の決済をする前に、取得しなければならない。

この登録番号は、以下のいずれか。

外国人登録番号:「出入国管理法」に基づき在留地を管轄する地方出入国・外国人官署の長が付与したもの。

国内居所申告番号:「在外同胞の出入国と法的地位に関する法律」に基づき付与されたもの。

不動産登記用登録番号:国内に在留地がない場合、大法院(最高裁)所在地を管轄するソウル出入国・外国人管理庁の長が付与したもの。

また、住所を証明するために韓国の人は住民票があるが、外国人は以下のいずれかを提供する必要がある点も注意が必要だ。

・外国人登録事実証明(外国人登録をした場合)

・日本の自治体が発行した住民票(日本の住民票を韓国の登記所に提出するためには外務省でアポスティーユを取得する手続きが必要)

2.譲渡時(売却時)に課せられる厳格な手続き

外国人が不動産を売却し登記申請を行う際、税務署長発行の「不動産譲渡申告確認書」の添付が義務付けられている。これは、制度に不慣れな外国人の譲渡所得税申告漏れを防ぐための措置である。また、非居住者である外国人は税制上も「居住者」より厳しく扱われるため、投資を考える際は現地の税負担も考慮した長期的な収支予測が不可欠である。

中村 圭吾

司法書士・行政書士アデモス事務所

代表

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