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揺らぐ、米国経済。米ドル代替の危機?…中国が台頭も、「人民元」がどうしても越えられない“壁”の正体

揺らぐ、米国経済。米ドル代替の危機?…中国が台頭も、「人民元」がどうしても越えられない“壁”の正体

グローバル化の反転と供給網の再構築

2010年代後半以降、モノの貿易量の伸び鈍化や貿易/GDP比の頭打ちが顕著になりました(図表)。背景には、米中対立、パンデミック、海上輸送リスク、技術規制の応酬などがあります。企業は効率性よりも安定性を重視し、供給網の再構築を進めています。

(出所)世界銀行より筆者作成 [図表]世界のGDPに占める貿易の割合 (出所)世界銀行より筆者作成

具体的には、中国依存を下げる「チャイナ・プラスワン」、地政学的に価値観の近い国・地域と組む「フレンドショアリング」、需要地に近い地域への回帰・近接を意味する「ニア・リショアリング」などが広がっています。

在庫を積み増す「Just-in-Case」型の対応は、インフレ圧力となり得る一方で、地域雇用や為替、資本移動にも波及します。投資家にとっては、コスト上昇を価格転嫁できる企業とそうでない企業の選別が重要になります。

民主主義とポピュリズムのせめぎ合い

経済格差は政治の地図を塗り替えています。欧州ではドイツのAfD、フランスのRN、オーストリア自由党など、反グローバル・保守を掲げる勢力が支持を拡大しています。移民・治安・文化摩擦といった論点にSNSが影響し、従来の政党間の妥協を難しくしています。

日本でも移民、防衛、エネルギー、産業政策をめぐる争点化が進み、新興勢力が支持を広げる場面が見られます。

塚本 憲弘

執行役員

マネックス証券株式会社

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