* * *
夫婦や恋人の場合、「隠し事をしないのが円満の秘密」と言う人もいるが、不貞行為をしていなくてもお互い秘密の1つ2つは珍しくない。例えば、「昔いじめに遭っていた」「ひきこもりだった」なんて経験は、いくら親しい相手でも正直話しにくいものだ。

◆「ひきこもりの過去」を恋人に言えず…
飲料メーカーに勤める鈴木直樹さん(仮名・34歳)は、中学時代はいじめを受けたことが原因で2年の途中から不登校となり、加害グループがいない高校に進学するもほとんど学校に行くことができず1年で中退。その後、通信制高校、大学を経て現在に至るが、大学在学中や社会人になってから知り合った友人には、不登校や引きこもっていた過去を隠していたという。「ずっとコンプレックスでしたし、周りに知られるのが怖かったんです。今はそんな風に思っていませんが、当時は表面上こそ明るく振舞っていても『嫌われたらどうしよう……』って、常に内心ビクビクしながら過ごしていました」
28歳のとき、同僚主催の飲み会で知り合った女性に好意を持たれ、彼女から告白されて付き合うことに。明るく何事にも積極的な彼女の性格に鈴木さんも惹かれ、年齢的に結婚を意識するようになる。
◆「高校中退」という事実を隠し続けていた
それでも彼女にも自身の過去を打ち明けることができなかった。中学や高校時代の話をほとんどしなかったことで疑念を抱かせてしまったのだ。「通信制高校を卒業したのは1年遅れの19歳。それも浪人したという設定にして、中退後に通信に入り直したとは言いませんでした。だから、高校の卒業アルバムなんて持っていませんし、中学時代のアルバムにも不登校だったから全然写っていません。友人と呼べる存在すらいなかったため、プライベートで撮った写真もまったくありませんでした」

