年の瀬の12月に追い込みをかけたい騎手の一人が、ダブルハートボンドをG1初勝利に導いた坂井瑠星騎手である。坂井騎手は2月のサウジCと11月のブリーダーズCクラシックを勝利していたが、JRAでのG1勝利はレモンポップとのコンビで制した昨年のチャンピオンズC以来だった。
◆坂井瑠星騎手が迎える“勝負の1か月”

手始めは14日の阪神JFに臨むアルバンヌだ。未勝利戦→サフラン賞(2歳1勝クラス)を2連勝中のアドマイヤマーズ産駒は、今回が坂井騎手との初コンビ。前走後に鞍上を務めたC.ルメール騎手が「能力があります。今日が3戦目で、自分の仕事を分かっていた」とコメントしていたように、そのポテンシャルは高い。関東馬だが、今回の舞台となる阪神芝1600mを経験している点も強みとなるだろう。
そして来週末21日の朝日杯FSは、リアルスティール産駒のアドマイヤクワッズとのコンビで参戦予定。こちらはデビューから坂井騎手が手綱を取り、新馬→デイリー杯2歳Sと無傷の2連勝中だ。坂井騎手自身が「2戦とも良い内容で、上の舞台でもやれる力がある」とその実力に太鼓判を押しており、楽しみは膨らむ。
下馬評ではアルバンヌ、アドマイヤクワッズともに上位人気が確実で、坂井騎手はチャンピオンズCからG1・3連勝を飾っても何ら不思議ではないだろう。
さらに27日に行われるホープフルSにも実力馬とのコンビが決まっている。それがコントレイル産駒のバドリナート。8月の初戦はクビ差の2着に惜敗したが、坂井騎手に乗り替わってから未勝利→萩Sを2連勝中だ。前走後には「言うことのない内容だった」と坂井騎手自身も及第点を与えており、2歳王者の座に駆け上がる資格は持っている。
◆「月間5勝」するチャンスあり!
そして1年を締めくくる有馬記念には、自身が所属する矢作芳人厩舎のシンエンペラーと臨むことが決まっている。同馬はこれまで重賞を2勝しており、G1で4度も馬券圏内に入っている実力派。8着に敗れた前走のジャパンCを含めて近3走はいずれも掲示板を外しているが、海外遠征帰りを一度使われた上積みに期待できそうだ。昨年のジャパンCでドウデュースと差のない2着(同着)に入った実力は疑いようがないだけに、思わぬ大駆けがあっても驚かない。
つまり坂井騎手には、この1か月間でG1勝利を4つ上積みし、最大5勝するチャンスがあるというわけだ。武豊騎手でさえ、これまでの月間G1最多勝利は「2」まで。坂井騎手はあと2勝でレジェンド超えを果たすことになる。

