◆レジェンド武豊騎手との“決定的な違い”
ただし、坂井騎手がどれだけ好成績を残したとしても、武騎手に対抗できないこともある。それがトーク力だ。早くから国内No.1ジョッキーに定着した武騎手は、腕、顔、スタイルに加えてユーモアのセンスも抜群。長年勝てなかった朝日杯FSを僅差で逃した際には、勝利したM.デムーロ騎手に対して「空気の読めないイタリア人」と言い放ち、笑いを誘った。とにかくその話術は天才的なのだ。
競馬を公営ギャンブルの域を超えて、“スポーツ”、そして“エンターテインメント”へと昇華させた背景には武騎手のトーク力も大きく寄与したのは間違いない。
坂井騎手がポスト武豊を狙うためには“第4の能力”にも磨きをかける必要があるかもしれない。
文/中川大河
【中川大河】
競馬歴30年以上の競馬ライター。競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。競馬情報サイト「GJ」にて、過去に400本ほどの記事を執筆。

