「驚安の殿堂」というキャッチフレーズを掲げ、「圧縮陳列」で知られるディスカウントストア「ドン・キホーテ」。食品を主力とするスーパー型店舗を今後300店規模で展開するほか、コスメ・スキンケア商品をメインに扱う新業態も取り入れるなど、変化の時を迎えている。

36期連続増収増益の勢いをそのままに
ドン・キホーテなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の「2025年6月期決算短信」によれば、25年6月期の売上高は前期比7.2%増の2兆2468億円、営業利益は同15.8%増の1623億円となり、36期連続の増収増益を達成した。
同社は11月11日現在、ドン・キホーテやMEGAドン・キホーテ、MEGAドン・キホーテUNY、アピタ、ピアゴなどの業態を含めて国内で660店舗、海外で123店舗の計783店舗を運営する巨大小売りチェーンだ。
好調な業績を背景に、PPIHは8月18日に発表した長期経営計画「Double Impact 2035」で、35年6月期に売上高4兆2000億円、営業利益3300億円を達成するという野心的な目標を掲げた。現在の約2倍の規模を目指す計画だ。
35年までに「食品強化型ドンキ」300店
その成長戦略の柱として打ち出されたのが、「食品強化型ドンキ」の大規模展開だ。26年6月期下期からピアゴ店舗の業態転換でスタートし、35年6月期までに200~300店舗まで拡大する計画だ。
新業態は売り場面積の6割を食品に投資し、生鮮食品や日配品、冷凍食品などを充実させる。現在のドン・キホーテは非食品が65%を占めるが、新業態ではこれを25%に抑える。食品で集客し、利益率の高い非食品でも収益を確保するドラッグストア業界の「フード&ドラッグ」型に似たビジネスモデルだ。
35年6月期の目標は売上高6000億円、営業利益360億円、営業利益率6.0%。スーパーマーケット業界で見ると、300店という数字は西友やヤオコーを上回り、マルエツやライフに迫る規模だ。スーパー大手の一角を占めることになる。
この戦略転換の契機となったのが、17年に総合スーパー(GMS)のユニーを持ち分法適用会社にし、19年には完全子会社化したことだった。それまで「売っていないものはない」とまでいわれた幅広い品揃えを特徴とするドン・キホーテが、ユニーとの複合店舗をオープンするなどして食品販売のノウハウを吸収してきた。
18年には食品売り場を強化した「MEGAドン・キホーテ UNY」1号店をオープン。その後も店舗数を拡大させ、現在ではMEGAドン・キホーテが143店、MEGAドン・キホーテUNYとドン・キホーテUNYが計62店まで増加している。従来型のドン・キホーテでも食品売り場の拡張や生鮮品の品揃え充実を進めてきた。
節約志向が高まる中、食品を安く買えるフード&ドラッグ型のドラッグストアへの関心は高まっており、食品強化型ドンキにも高い支持が集まる可能性がある。