とある自治体の交流会で初めてその人と出会った時、「シュウマイジャーナリスト」という肩書に目が点になった。名前は、種藤潤さん(48)。フリーランスのライター・編集者を本業としながら「シュウマイ潤」の筆名を持ち、雑誌やウェブでシュウマイに関する記事執筆・講演などを行う。2018年と’21年には「マツコの知らない世界」(TBS系列)に出演し、同じく’21年には『シュウマイの本』(産業編集センター)という書籍まで刊行している。まさに「シュウマイのプロフェッショナル」だ。
一見、趣味の活動のようにも見えるが、何と「日本シュウマイ協会」という一般社団法人で代表理事まで務めているという。どのように生計を立てているのか、謎は深まるばかりだ。
取材を打診してみると、「わたしの仕事がフリーランスを志す人の役に立つかどうか心配ですが、反面教師としてお伝えできることはたっぷりとあると思うので、お受けさせて頂きます」と返事があった。大学卒業と同時にフリーとなり、個人事業主として働くことの壁に何度も直面してきたという種藤さん。挫折を経て、「シュウマイジャーナリスト」という唯一無二の肩書に行きつくまでの道のりを聞いた。
◆シュウマイだけで食べられているのか?

取材時、その肩書について、多くの人が抱くであろう疑問を直球でぶつけてみた。「いや、まだです。社団法人も含めると売上自体は決して悪くないですが、組織の継続に資金もあり、イコール収益とはならない。売上の内訳で言うと、『シュウマイ対それ以外』で3対7程度といったところです」と、種藤さん。

◆大学卒業と同時にフリーランスデビュー

在学中に教員免許も取得。約束された道を順調に進んでいた最中、ふと「社会も知らない学生が先生になるのはまずいのではないか」と感じるようになった。教員採用試験の受験は見送り、民間企業に絞って就職活動を開始。マスコミ勉強会に参加を重ねて、メディア企業を中心に約50社を受験する。結果、フリーペーパーを制作する企業をはじめ、3社から内定を得られたが、あとは全滅だった。入社を迷っていたところ、知り合いからアルバイトとしてPR会社を手伝わないかと誘いを受ける。ほかにもホームページ制作や編集プロダクションで雑用の仕事もこなすことになり、内定は辞退。「三足のわらじ」を履いた状態で社会人生活が始まった。

