仮想通貨取引における「法人化」のメリット・デメリット
4.法人化を検討する
法人化し、法人として仮想通貨取引を行うことが、税金の負担軽減につながる場合があります。個人で仮想通貨取引を行っている場合、仮想通貨取引の利益は総合課税の対象となり、所得税が課されます。
前述のように、所得税には累進課税制度が採用されているため、所得額が大きくなるほど課される税率も高くなり、納税額も増える仕組みです。所得税の最高税率は45%にも上ります。さらに、課税所得に応じて住民税や社会保険料の額も変わってくるため、実質的な負担は45%以上になるといえます。
法人化し、法人の事業として仮想通貨取引を行った場合、仮想通貨で得た利益には、所得税ではなく、法人税が課されます。法人税の税率は、原則として23.2%です。
また、資本金1億円以下の企業の場合は、年800万円以下の部分について適用される税率は15%となっています。法人税は、所得税のような累進課税制度はないため、課税所得が大きくなっても税率が23.2%を超えることはありません。
つまり、法人化し、法人として仮想通貨取引を行うと、税金の負担を大きく軽減できる可能性があるのです。さらに、経費として計上できる費用の幅も広がるため、役員社宅として住居の家賃を経費に計上することもできます。その点でも節税効果を得られるのです。
しかし、法人化するにあたっては、費用と手間がかかるのも事実です。また、法人化した場合、投資家は仮想通貨取引で得た所得を個人の所得として扱うことはできません。
会社のお金と個人のお金は区別し、会社から役員報酬という形でお金を受け取ることになります。そして、役員報酬は個人の所得になるため、役員報酬の額に応じた所得税や住民税の支払いは必要です。そのため、仮想通貨取引をしている人が法人化すべきかどうかは慎重に判断しなければなりません。
法人化のタイミングは慎重に
今回、仮想通貨取引における節税対策を紹介しました。
そのうち、法人化は、高い節税効果を得られる可能性がある手段です。ただし、得ている所得によっては、個人事業主として仮想通貨取引を続けたほうが、かえって負担する金額が少なく抑えられる場合もあります。そのため、法人化すべきかどうか、タイミングに悩む場合には、専門家である税理士への相談をおすすめします。
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松本 崇宏
税理士法人松本
代表税理士
