
フランス・パリ生まれ。グラースで調香を学び、経験豊かな調香師や業界のプロフェッショナルのもとで香水づくりの基礎を習得。その後、グラース、パリ、ミラノの複数のフレグランスメゾンで経験を積み、実践的な知識と香りの芸術への理解を深める。また、販売の現場でも経験を重ね、人と香りとの関わりを多角的に見つめる視点も培う。
まったく新しい香りを生み出す最前線にいるやりがい
パリで生まれ、香水の都・グラースで調香を学んだというブルニエ氏。パリやミラノなどの複数のフレグランスメゾンで経験を積んだ彼女が、「ドットール・ヴラニエス フィレンツェ」に参加して感じていることは?
「パフューマーとして香りのフォーミュラを考えるだけではなく、実際のオイルブレンディングから商品のボックスデザイン、店頭に並んで販売されるところまで、それぞれのスタッフと関わりながらチームの一員として学び、経験を重ねていけるところに心惹(ひ)かれています。『ドットール・ヴラニエス フィレンツェ』では、愛しい赤子が育っていく姿を見守るように、フレグランスが完成していく過程を見届けられるのです。 もう一点、魅力をあげるとすると、すでにホームフレグランスなどで唯一無二の商品を生み出して評価が確立されているブランドでありながら、そこにとどまらず、常に新しいもの、新しい価値を生み出していこうとする姿勢です。とてもオープンで多様性のある組織の中で、私自身もどれだけクリエイティブな新しい提案ができるかを心がけています。私たちは決してトレンドフォロワーではない。自分たちでまったく新しいフレグランスを生み出していく、その最前線にいられることに、パフューマーとしてたまらないやりがいを感じるのです」
オードパルファムの誕生につながる、興味深い出合いと経験
そんなブルニエ氏が、フィレンツェで得たインスピレーションを8つの香りに昇華したというオードパルファムコレクション“フィレンツェ イン トランスレーション”も、話題を呼んでいる。これらのフレグランスには、以前から抱いていたアイデアを取り入れたものもあるそう。
「フランスにいた数年前、6月のある週末のこと。とても素敵でユニークな香りのパフュームに出合いました。手に取ってひと嗅(か)ぎで気に入ってしまったそれは、リンデンツリー(西洋菩提樹)の花の香りに近くて。どうやってこれを創り出すのか、再構成するフォーミュラを考えたことがあるのです。その後、フィレンツェに移って経験を積む中で、再びリンデンツリーに出合う機会がありました。初夏、街にリンデンツリーの花の香りが溢(あふ)れていて、風や気温の上昇でさらに力強く花が香る。近年、人々の生活は自然から切り離され、遠ざかっているように感じます。木の下に立ったときに感じるような自然とのつながり、ピュアでシンプル、ロマンティックでポエティックな経験を、香りで想起させることはできないか……。過去の出合いとフィレンツェでの興味深い再会が、午後の木陰のように爽やかな “メリッジャーレ”というオードパルファムの誕生につながりました」

