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「別れる彼女への手紙を書け」医学部入試で出題されたワケ。ミスマッチに見える問いに込められた“医学教育の狙い”とは

「別れる彼女への手紙を書け」医学部入試で出題されたワケ。ミスマッチに見える問いに込められた“医学教育の狙い”とは

◆医者こそ“感情の取扱い”に精通しなければならない

 医者は、そしてその卵たる医学部生は、みな苛烈な受験戦争や国家試験受験を制してきた歴戦の猛者。

 勉強で結果を出すためには、感情的になるよりも、機械的に結果と傾向を判定してトライアンドエラーを繰り返す合理性が求められます。

 その中には、きっと「感情的なバカと話したくない」とするような人も、少なくないのでしょう。

 ですが、合理性は人を生かしはすれども、人を元気づけることはありません。

 人間は体力があれば動けるわけでもなく、気力が揃って初めて行動に移れる。であれば、体力のみならず気力に対する、すなわち感情に対する取扱いまで学んで、初めて「真に合理的な選択」となるように見えます。

 私の好きな名言に、「怠惰を求めて勤勉に行きつく」というものがあります。

 麻雀マンガ『哲也―雀聖と呼ばれた男』の一幕で、楽して儲けたいばくち打ちとして勝ち上がるために、日夜賽の目を振る鍛錬を怠らない矛盾を形容した言葉ですが、これはどの分野にも当てはまるように感じる。

 この世で最も合理的な判断を下すべき医者だからこそ、この世で最も感情的な判断に関しても精通していなくてはならない。

 まずは、自分の感情の起伏を観察し、徐々に扱いをならしていくべきなのでしょう。

 冒頭の医学部生の文言も、もう少しかみ砕けば「バカと話すと感情が不用意に動いて疲れるから、話したくない」ということ。

 感情的な自分を守るために、合理的な人が多い環境を目指すという感情的な判断を下している。

 これは全く現実的に不可能ですから、あまりに非合理的な選択のように見えます。彼もまだまだ、勉強途中ということなのかもしれません。

<文・布施川天馬>

―[貧困東大生・布施川天馬]―

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。MENSA会員。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)
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