◆突然上がった不自然な“雪しぶき”
兼近さんは「こんな道で飛ばすなんて正気?そのスピードで赤信号止まれるの?」と思った。信号が青に変わり、その車はさらに距離を詰めてきた。そして、兼近さんの車を抜き去ったという。
「雪でタイヤが取られたら事故になると思って、私は緊張で手に汗をかきながらハンドルを握りしめました」
やがて、前を走っていた車も我慢ができなかったのか、追い越し禁止区間にもかかわらず、無理やり追い越そうとしていたようだ。
兼近さんが「こんな運転してたら、いずれ何かが起こるだろうな……」と思った矢先だった。前方で不自然な雪しぶきが上がったという。
「SUVが操作不能になり、路肩の雪に突っ込んでいました。そしてスリップしたまま完全にコントロールを失い、田んぼの中に滑り落ちていったんです」
驚いた兼近さんは、車を止めて様子を見に行くことに。幸いにも運転手に怪我はなかったようだ。しかし、車は雪に埋もれ動けなくなっていたのだとか。
「運転手は窓を開けて何やら怒鳴っていましたが、『はっきり言って“自業自得”でしょう!』としか言いようがありません」
事故の原因は、あおられていた車が後部に接触した際に、SUVが無理なブレーキをかけたためだった。ぶつけられた車の運転手にも怪我はなかったが、後部が少しへこんでいたという。
しばらくして警察のパトカーと救急車、レッカー車が到着。兼近さんは、事故前のSUVの状況を警察官に説明し、現場を後にした。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

