年を取ったら丁寧なケアと気持ちの切り替えを

年齢を重ねると、自分自身のケアに時間がかかることを痛感する。白髪は増え、肌は乾燥しやすくなる。以前だったら放っておいてもなんともなかった爪が、ふとした拍子に割れたりする。爪回りの皮膚も乾きがちだ。そして性器周辺も妙にかゆくなったり荒れていたりする。
こまめにケアしないと、あっという間に薄汚れた外見になってしまうのではないかと不安が走る。筆者自身も、体形的にも感覚的にも自分に自信が持てなくなり(もともとあったわけではないのだが、それでも)、セックスは卒業してもいいかなと思うことが多々ある。
「自分の体を大事にすることが健康につながり、ひいては恋愛に限らず、他者への思いやりにつながっていくんじゃないかと思うことがあります。だから更年期がつらかったら、まずは婦人科へ行ってほしい。ホルモン療法などでラクになったら、さらに保湿剤などを使うことでセックスがまた楽しめるようになる可能性が大きいから」
今回、小林さんが自社ブランドとして発表した「Your Side」には、デリケートゾーンを気軽にケアできるボディミルクと保湿ゼリーがある。ボディミルクは、こっくりとしたコクがあり、手足やボディはもちろん、足の付け根のケアにも使える。外陰部周辺が乾燥しがちになる更年期世代にぜひ使ってほしいという。保湿ゼリーはさらりとしているので、指先のケアからこちらもデリケートゾーンに使うことができる。
「いわゆる潤滑ゼリーって専用商品しかないんですよね。セックスのときしか使えないから、一つ買ったらなかなか使い切れないという人も多い。それを考慮して全身に使える化粧品として開発しました。デリケートゾーンも体の一部、ボディケアの一環として毎日使ってもらえるものにしたかったんです」
更年期以降「男女の性」を見直すべき

小林さんがさらに訴えるのが、更年期以降の男女の性のありようだ。今までとは違うことを男女ともども確認した方がいいという。
「例えば夫婦ともにアラフィフで、妻は更年期によって膣が乾燥しがちで性交痛がある。夫は中折れするようになってしまった。以前は妻をいたわりながらセックスしていた夫が、自分の中折れを気にするあまり、セックスの最中、妻を気遣わなくなるんですって。妻にしてみたら、別にセックスに挿入が伴わなくてもいいんですよ。だけど夫はひとりで挿入と射精にこだわっている。これ、けっこう象徴的な話だと思います。そういう男性のセックス観を変えてほしいと、女性たちは思っているんじゃないでしょうか?」
男性の勃起、挿入、射精のシステムに、女性たちは「付き合わされている」と感じることが多々ある。だからセックスが楽しくなくなる側面もあるだろう。いくつになっても男性がその流れを遵守しようとする限り、女性は苦痛を覚え続けるのかもしれない。
「夫婦のセックスが貧しすぎる」と小林さんは憂える。
「肉体的な快感を得たい」だけなら、男女とも一人ですればいい。自分の快感スイッチは自分が一番よく知っている。それでもあえて夫婦が抱き合うのはなぜなのか? 人肌から感じる安心感、抱き合うことで得られる充足感があるからではないだろうか。
「挿入は必ずしも必要ではない」ペニス神話にとらわれている夫にそう言えるのは妻だけかもしれない。そこから夫婦のセックス観は変わっていく可能性があるのだ。
※初出:2020年5月。HALMEK upの人気記事を再編集したものです。

