娘の難病、夫の死別……自分を押し殺して生きた半生の先に
今でこそ周りから「行動の変態」といわれる私ですが、40代までは真逆の人生を送ってきました。
25歳で結婚し、31歳で娘を出産。しかし、慣れない育児に追い詰められ、ほぼ逃げるように仕事に復帰しました。
ところが、生後8か月で子どもが血液の“がん”だと分かります。治療のため長期入院することになり、付き添うために会社を退職。その後、娘は奇跡的に寛解しましたが、育児に専念するため10年間専業主婦をしていました。
娘の成長を見守る日々は幸せな一時でした。ふと「私の人生、これでいいのだろうか」と心の声が聞こえるときもありましたが、知らぬふりをしてきました。母として、妻として、嫁としての務めを果たすべく、自分を押し殺して生きてきたのです。
残念ながら、夫や義実家との関係は良好とはいえず、夫が精神疾患で退職したときに別居。48歳で高校生の娘と二人暮らしに。その後、夫と死別し、シングルマザーになりました。
母の役割はあるにせよ、娘はもう大きいので手がかかりません。妻や嫁の立場に縛られていた以前と比べ、自由な時間が増えた気がしました。
あんなに待ち望んでいた自由な日々。なのに私は「何をすればいいんだろう……」と立ちすくんでしまったのです。
そのとき、50歳。おそらく初めて自分の人生と向き合いました。
「昔、何をやりたかったんだっけ?」
「どんな大人になりたいって思ってた……?」
自問自答を重ね、今までの人生で叶えられなかった「いつかの夢」を思い出すことから、私の「人生全回収」はスタートしました。
50代こそ「やりたかったこと全回収」を始めるべき理由
50代は、まだまだ身体も頭も元気です。しかし、定年を意識し始めたり、子どもが巣立ったり、親の介護が始まったり、大きなライフイベントが相次いで起こる時期でもあります。
そのため、つい自分のことを後回しにしてしまう方は多いのではないでしょうか。
しかし私は、50代こそが自分のやりたかったこと、好きなことを「全回収」できる最後のチャンスだと思っています。
「定年になってからやろう」「夫に時間ができたら、二人でやろう」と思っていても、どんな60代を迎えられるか未来のことは誰にも分かりません。もしかしたら、自分や家族が病気になるかもしれない、突然亡くなるということもあり得ます。
特に私の場合は、娘が命に関わる大きな病気をしたり、夫が若くして亡くなったり、幾度となく「死」と深く向き合ってきた経験があるからこそ、心の底からそう思うのです。
まずはやりたいことを叶えるため、何か一つでも行動してみてください。そのときから人生は確実に好転していくでしょう。
「行動」さえすれば、必ず「結果」が得られるのです。

