手肌の乾燥やひび・あかぎれなどに悩む人が増えています。手の表面の細かな傷を放っておくと、菌やウイルスが入り込み感染リスクが高まる可能性も。そこで、正しいハンドケアについて皮膚科医に聞きました。
教えてくれたのは……野村有子(のむら・ゆうこ)さん

野村皮膚科医院院長。医学博士。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。1986年、慶應義塾大学医学部卒業。1998年、横浜市に野村皮膚科医院を開業。「あらゆる皮膚疾患について最高の医療を提供する」という医療理念のもと、治療からスキンケアのアドバイスまで、きめ細やかな診療を行っている。
手荒れに悩む人が増加しています
気温がぐっと下がり、水に触るのがつらい季節になってきました。さらにコロナ禍をきっかけに手洗いの回数が増えたことで、ここ数年、手肌を取り巻く環境はより過酷になっています。

「最近は、手荒れが重症化して来院される方が増えています」と話すのは、皮膚科医の野村有子さん。
ユースキン製薬が2022年2月に行った調査によると、秋冬(2022年9月~2021年1月頃)の肌トラブルで最も多かったのは、「マスクによる顔の肌荒れ」を上回り「手荒れ」が1位でした。
「新型コロナウイルスの流行後、手洗いや手指のアルコール消毒の回数が増え、秋冬の手荒れが増加したのです」(野村さん)

「感染対策として、手洗いや消毒はとても重要です。ただ、回数が増えると手肌が荒れやすくなり、ささくれやあかぎれ、ひびなどの細かな傷ができやすくなります。すると、その傷に汚れが残りやすくなってしまうのです」(野村さん)
見た目にはしっかり洗ったつもりでも、洗い残しがあると汚れだけでなく、細かな傷に入り込んだ菌やウイルスが落ち切っていない可能性も。「汚れが残った指で顔を触ることが問題です」と野村さんが指摘します。顔、特に口・鼻・目などの粘膜は、ウイルスや細菌の侵入経路になるからです。

