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「新疆ウイグル自治区」で潜入取材を試みた記者が、“リアルに死を意識した”出来事…「拷問器具の横で30時間以上拘束された」

「新疆ウイグル自治区」で潜入取材を試みた記者が、“リアルに死を意識した”出来事…「拷問器具の横で30時間以上拘束された」

◆隣には拷問器具…一睡も許されない過酷な取り調べ

一九八四+四〇 ウイグル潜行
筆者が見たのも、これとほぼ同じ構造(人権団体「CHINA CHANGE」サイトより)
——そして、西谷さん自身も当局に拘束され、日本では拷問に当たる過酷な取り調べを受けました。

西谷:隣国のカザフスタンに出国する際に、中国では禁書になっている『新疆ウイグル自治区』(熊倉潤、中公新書)や、日本で行われた「反中デモ」の写真を持っていたことから30時間以上拘束されました。タイガーチェアという拷問器具が隣に置かれた状態で、深夜から一睡も許されずに取り調べを受けました。弁護士を呼ぶことも、日本大使館と連絡を取ることもできず、疲労と睡魔で感覚がマヒしていきました。しかし、「この状態が何年も続き、自分の人生はここで終わる」と死を覚悟したのは、はっきりと覚えています。リアルに死を意識したのは生まれて初めてでした。

——書籍では「その渦中というのは意外なほど日常と地続きで、とても平凡な出来事のように思えた」と書かれていますね。

西谷:皆さんもいきなり「あなたは無期懲役です」と言われたら、「はあっ?」ってなりますよね。それに近い感覚かと。「国家安全危害罪で最高刑は無期懲役だ」と言われても、冗談だと思うじゃないですか。でも冗談ではなかった。何か効果音があるわけでも、決め台詞があるわけでもなく、淡々と事務作業のように取り調べが続き、いつになっても解放されず、横になることも許されない。日常と地続きのまま、いつの間にか変な世界に迷い込んでしまったような感覚でした。

◆「永久に入国させない」はハッタリか否か

——最終的に「5年間の入国禁止」を言い渡されたそうですが、この拘束によって自身の中国に対するスタンスに変化はありましたか。

西谷:「新疆での体験を世の中に発表したら、永久に入国させない」とも言われましたが、どこまで本当か分かりません。希望的観測かもしれませんが、現地の警察のハッタリかもしれません。ひどい目に遭いましたが、もう中国に足を踏み入れることができないかもしれないと思うと、ある種の望郷の念みたいなものが湧きますし、むしろ中国への思い入れみたいなものは強くなったかもしれません。我々の価値観で中国を批判して留飲を下げるだけでは、不健全で非建設的だと今でも思っています。中国の理屈を認める必要はありませんが、知った上で向き合わなければ、何も前に進まないのではないでしょうか。


配信元: 日刊SPA!

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