◆決勝で投げる可能性はゼロ?
2023年はアメリカとの決勝で大谷が最終回のマウンドに上がり、当時のチームメート、マイク・トラウトを空振り三振に仕留めた。あの名シーンが生まれた背景には、ちょっとした日程のアヤもあった。3年前は準々決勝が東京ドームで開催された関係で、決勝との間には実質5日間の登板間隔があった。
ところが、来年のWBCは準々決勝をアメリカで行うため、決勝は中2日もしくは中3日という短い間隔で行われることになる。ドジャースは、たとえ1イニング限定であっても、大谷を決勝で投げさせるという選択肢を侍ジャパンに与えないのではないか。
ドジャースとしては、安全策を採るならロバーツ監督が示唆した通り、大谷の打者一本がベスト。もしWBCを投手としての調整の場として許容するなら、1次ラウンドと準々決勝の2度、球数を制限したうえで登板させるのが現実的だろう。
いずれにしても、投手・大谷の起用法を巡って、井端監督は難しい舵取りを強いられることになりそうだ。
文/八木遊(やぎ・ゆう)
【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。

