リビングや主寝室など、12畳の部屋の壁紙が古くなってきたので、張替えを検討している方もいるのではないでしょうか。しかし「費用はいくらかかるのか」「安く抑えられるのか」と、不安に思う方も多いでしょう。12畳の壁紙張替えの費用相場は10万円前後からで、素材などにより変動します。
今回は、12畳の壁紙張替えの費用相場を中心に、コストを抑える方法や業者選びのポイントを解説します。適正価格を把握して、満足度の高い壁紙リフォームを実現しましょう。
1.12畳の壁紙(クロス)張替えの費用相場
一般的に住宅で広く使われている壁紙は「ビニールクロス」と呼ばれ、塩化ビニール樹脂などを主原料としたシート状の壁材です。このビニールクロスは、価格帯や機能性の違いによって大きく以下の2種類に分類されます。
スタンダードクロス(量産クロス):安価でシンプルなデザインが多く、防カビなどの基本機能が備わっている
ハイグレードクロス(1000番台クロス):色柄のバリエーションが豊富で、消臭や汚れ防止などの高機能な製品が多い
部屋の形状や、窓・ドアなどの開口部の大きさによって面積は変動するものの、12畳の部屋の壁と天井をすべて張り替える場合、施工面積は65~70㎡程度が目安となります。グレードごとの1㎡あたりの単価と、12畳全体の張替えにかかる費用相場を、以下の表にまとめました。
| ビニールクロスの種類 | ㎡単価の目安 | 12畳(壁+天井)の総額の目安 |
|---|---|---|
| スタンダードクロス (量産クロス) |
1,000~1,200円/㎡ | 6.5~8.5万円 |
| ハイグレードクロス (1000番台クロス) |
1,400~1,600円/㎡ | 9.1~11.2万円 |
12畳の広さがあるLDKなどでは、用途に合わせて壁紙を使い分けるのがおすすめです。たとえば、油汚れが気になるキッチンには機能性壁紙を選び、リビングにはスタンダードクロスを組み合わせるといった工夫ができます。適材適所の壁紙を選ぶことで、日々のお掃除がぐっと楽になるはずです。
このような特殊な素材の使用や、場所によって張り分ける場合の費用については「12畳の壁紙(クロス)張替えでよくあるオプション費用の例」の章で詳しく解説します。
(参考)家具移動や壁紙処分などの追加費用がかかる場合がある
基本料金に含まれない作業が発生する場合、以下のような追加費用がかかる可能性があるため注意しましょう。
家具移動費:大型家具やピアノなどの移動が必要な場合
下地処理費:壁に穴が開いている、カビが発生しているなど、下地の補修が必要な場合
廃材処分費:剥がした古い壁紙の廃棄処分を業者に依頼する場合
「見積もりに入っていると思ったら処分費が別だった」といったトラブルを避けるため、契約前に見積書の内訳をチェックし、どこまでが基本料金に含まれているかを業者に確認することが大切です。
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2.12畳の壁紙(クロス)張替えでよくあるオプション費用の例
12畳の壁紙張替えでは、基本のビニールクロス以外にもさまざまな選択肢があります。機能性やデザイン性を高めるためのよくあるオプションは、以下のとおりです。
特殊な素材の壁紙を張る場合
アクセントクロスを張る場合
キッチンとリビング・ダイニングで壁紙を分けて張る場合
2-1.特殊な素材の壁紙を張る場合
一般的なビニールクロス以外の特殊な素材を選ぶと、どうしてもリフォーム費用の総額は上がります。素材自体の価格が高いため、予算には余裕を持っておく必要があるでしょう。自然素材や機能性に優れた素材ごとの費用相場の目安と特徴は、以下のとおりです。
| 素材名 | ㎡単価の目安 | 12畳(壁+天井) 総額の目安 |
特徴 |
|---|---|---|---|
| 紙クロス | 1,500~2,500円/㎡ | 9.8万~17.5万円 |
自然な風合いで通気性が良い 水や油汚れに弱い |
| 布クロス(織物) | 2,000~3,500円/㎡ | 13.0万~24.5万円 |
高級感があり吸音性に優れる ホコリが溜まりやすく掃除しにくい |
| 木質系クロス | 3,500~5,000円/㎡ | 22.8万~35.0万円 |
木の温もりや質感を楽しめる 湿気による変形に注意が必要 |
| 珪藻土・漆喰クロス | 3,000~4,500円/㎡ | 19.5万~31.5万円 |
調湿や消臭効果が高い 施工が難しく費用は高め |
| オレフィン系クロス | 2,000~3,000円/㎡ | 13.0万~21.0万円 |
燃えにくく水や湿気に強い デザインの種類はやや少なめ |
特殊な壁紙はビニールクロスに比べて施工の難易度が高く、職人の技術料が割増になるケースが少なくありません。また、水拭きができない素材や傷がつきやすい素材もあるため注意が必要です。デザイン性だけでなく、メンテナンス性も考慮して選びましょう。
サンプルだけでは仕上がりのイメージが湧きにくいこともあります。可能であれば、実際にその素材を使った施工事例を業者に見せてもらい、採用するかを検討してください。
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2-2.アクセントクロスを張る場合

12畳(総面積65㎡)のうち、壁一面(約10㎡)だけ素材やグレードを変える場合の費用例を、3つのパターンに分けて紹介します。ベースの壁と天井(残り55㎡)は、一般的な「スタンダードクロス(量産クロス)」を使用する想定です。
| プラン | 組み合わせ | 費用(総額)の目安 | アクセントクロスの特徴 |
|---|---|---|---|
| パターン① | ベース:スタンダードクロス 一面:ハイグレードクロス(1000番台) |
7.0万~8.6万円 |
色や柄のバリエーションが豊富 手軽に取り入れられる |
| パターン② | ベース:スタンダードクロス 一面:オレフィン系クロス |
7.5万~9.6万円 |
水や汚れに強く掃除が楽 機能性を重視する人向け |
| パターン③ | ベース:スタンダードクロス 一面:木質系クロス |
9.0万~11.6万円 |
本物の木の質感を演出 高級感が出るが費用は高め |
パターン①のように、アクセント部分の素材をハイグレードのビニールクロスにするだけなら、総額への影響は1〜2万円程度で済みます。コストパフォーマンスよくおしゃれな空間を作れるため、費用を抑えたい方におすすめです。一方、パターン③のように木質系などの特殊素材を採用する場合は、材料費が高くなるだけでなく、施工の手間賃も割増になる可能性があります。
なお、アクセントクロスは面積が小さすぎると「一式」としての最低施工費がかかり、割高になることがあります。一面全体など、ある程度まとまった面積で張るのがよいでしょう。
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2-3.キッチンとリビング・ダイニングで壁紙を分けて張る場合
LDKなどの広い空間では、場所ごとの用途に合わせて壁紙を張り分けるリフォームも人気です。ここでは12畳LDKを「キッチン周り(約15㎡)」と「リビング・天井(約50㎡)」で張り分けた場合の費用例を紹介します。
| プラン | 組み合わせ | 費用(総額)の目安 | アクセントクロスの特徴 |
|---|---|---|---|
| 機能性重視 | キッチン:オレフィン系 リビング:スタンダードクロス |
8.0万~10.5万円 |
油汚れが気になるキッチンを強化 リビングは安価に抑える |
| 快適性重視 | キッチン:スタンダードクロス リビング:珪藻土クロス |
16.5万~24.3万円 |
リビングの湿度調整・消臭効果 居心地の良い空間をつくる |
機能性重視プランでは、汚れやすいキッチンだけにオレフィン系などの高機能なクロスを採用しています。掃除の手間を減らしつつ、費用上昇を最小限に抑えられるのがメリットです。
快適性重視プランのようにリビング全体に高単価な自然素材を使うと、総額は跳ね上がります。スタンダードクロスのみの場合に比べて、2倍近くになることもあります。
予算オーバーを防ぐためには、どこに機能を持たせたいかの優先順位を明確にしましょう。そのうえで業者に相談し、バランスのよいプランを提案してもらうことで、ライフスタイルに合った空間づくりが可能になります。

