いつまでも輝く女性に ranune
月収25万円・営業事務の29歳男性…「奨学金280万円」を背負ってまで「専門学校」に行ったワケ

月収25万円・営業事務の29歳男性…「奨学金280万円」を背負ってまで「専門学校」に行ったワケ

奨学金返済が「当たり前」の社会

現在、大学生の約3人に1人が奨学金を利用している。進学のための一般的な選択肢として定着しており、平均貸与総額は約330万円に上る。就職後は比較的給与水準の低い1年目から毎月約2万2,000円を支払い、平均15年かけて返済していく。Aさんのように20~30代という若く貴重な時期をほぼ返済とともに過ごす若者は多い。

問題は返済額そのものだけではない。日本ではこの30年間、賃金がほぼ横ばいで推移している。そこに物価高と社会保険料負担増が重なり、若い世代の可処分所得は減少の一途を辿っている。奨学金を利用することが当たり前であるならば、返済をしても自己投資や資産形成、結婚などの選択肢が狭まらない社会であるべきではないだろうか。

もちろん、企業側も簡単に賃上げできるわけではない。特に中小企業にとって持続的な賃上げは大きな負担となる。その一方で、人材確保に悩む企業は多い。そこで一つの解決策となり得るのが、企業による「奨学金返還の肩代わり」という動きである。

現在、企業が従業員の代わりに奨学金を返済する「代理返還」の仕組みが整備されつつある。若手にとっては実質的な手取り増となり、企業にとっては採用力や定着率の向上が期待できる。導入企業は2025年時点で4,000社を超えたが、全国の企業数からすれば、まだ「一部の先進的な企業の取り組み」の域を出ていないのが実情だ。

奨学金は教育機会を広げるための重要な社会的インフラである。しかし、その返済が若者の人生設計を圧迫し、消費や挑戦の意欲を削ぐ状況が「当たり前」であってはならない。「学び」の対価が「重荷」となり続ける現状を変えるには、個人の自助努力だけでは限界がある。企業が返還支援を「コスト」ではなく「未来への投資」と捉え、社会全体で若者を支える構造へと転換していくこと。それこそが、停滞する日本の活路を開く鍵となるのではないだろうか。

大野 順也

アクティブアンドカンパニー 代表取締役社長

奨学金バンク創設者
 

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