当日の流れ…「世間話」こそが最大の山場
調査当日は、午前10時ごろに調査官が来訪します。 午前中は「インタビュー」の時間です。事業内容や経緯について、世間話を交えながら会話が進みますが、油断は禁物です。
調査官は雑談をしているようで、実は「調査すべきポイント」を探っています。この時間の対応が、その後の調査の成否を決めるといっても過言ではありません。曖昧な回答は避け、明確に答えられるよう税理士と事前に打ち合わせをしておきましょう。税理士が立ち会う場合、このインタビューだけ出席し、あとは税理士に任せて仕事に戻ることも可能です。
午後は書類のチェックに移りますが、帳簿をみずにオフィス内の見学や業務フローの確認を優先する調査官もいます。いずれにせよ、調査官は基本的には17時には税務署に戻って報告しなければならないので、夕方16時ごろまでに、最後に税理士を含めた「まとめ」の話し合いが行われます。ここで、調査官が目星をつけた「論点(追徴の可能性があるポイント)」が提示されます。
調査官もプロですが、短期間の調査で事業の全容を完璧に把握できるわけではありません。勘違いや思い込みで、“黒”だと疑ってかかってくることもあります。
重要なのは、「調査官の指摘がすべて正しいとは限らない」という認識を持つことです。 事実と異なる認識を持たれたまま進めば、思わぬ追徴課税を招きかねません。わからないことは聞き返し、違う点はその場できっぱりと訂正する。この姿勢が自分を守ります。
調査官から依頼される「一筆」は任意
調査の過程で、「質問応答記録書」という書類が作成されることがあります。これは調査官が把握した内容を記録するものですが、これが後々、課税処分の「根拠(証拠)」として使われるケースが多くあります。
内容に事実と異なる点があれば、必ず訂正を求めてください。そして、署名を求められることがありますが、これはあくまで「任意」です。強制ではありません。納得できない内容にサインをして、自ら不利な状況を作る必要はないのです。
このように税務調査は一定のルールに基づいて行われますが、調査官も人間であり、短期間ですべてを正しく把握できるわけではありません。思い込みや勘違いがあれば、きっぱりと訂正する姿勢が不可欠です。
「それは違います。事実はこうです」 そう説明できる準備と整った帳簿があれば、税務調査を過度に恐れる必要はありません。しっかり申告していれば、いわゆる「お土産(あえて修正申告に応じること)」も不要です。「修正なし」で終わることも、決して珍しいことではないのです。日ごろの備えと毅然とした対応こそが、あなたの資産と事業を守ることにつながります。
木戸 真智子
税理士事務所エールパートナー
税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー
