起きてしまった以上は仕方なく、なかには駅員相手にキレている者もいるが、彼らに文句を言うのは筋違い。とはいえ、復旧まで長時間待つ場合も多く、代替交通手段があったとしても遠回りや余計な出費を強いられてしまうこともある。
いずれにしても巻き込まれた側にとっては大きなストレスだ。
◆札幌の「地下鉄東西線」で突然停電…

そう語るのは、札幌に単身赴任中の会社員の大山光彦さん(仮名・40歳)。実はこの日、札幌市営地下鉄の東西線では午後3時過ぎに停電が発生し、全線がストップ。自宅はその沿線にあったため、帰りの交通手段を失ってしまったのだ。
「当時私は、札幌の中心部にある大通駅にいて、ここから自宅へ帰るには、最寄り駅から歩く時間を入れても普段なら30分かかりません。しかも、この時点では復旧の見通しは立っておらず、どうしたものかと途方に暮れていました……」
大通駅は札幌駅とススキノのちょうど中間に位置し、大規模な地下街になっている。駅周辺はオフィス街でもあるが、同時に商業施設も多く、大山さんが駅に着いた時は、普段の休日以上に人で溢れている状態だった。
「ちなみに大通駅から私の社宅マンションの最寄り駅までは7駅。距離にして8kmちょっとなので絶対に歩けない距離ではないですが、この時は買い物して両手が塞がっていましたし、天気も雲が増え始めて雨が降りそうな雰囲気になっていました。だから、歩いて帰るのはやめたほうがいいなって」
◆迂回ルートでの帰宅は定期券が使えず…
東豊線という別の地下鉄の終着駅まで行き、そこからバスに乗り換えれば自宅最寄り駅まで行くことはできたが、バスは1時間に1本のみで、調べると待ち時間の関係で2時間近くかかりそうなことが判明。しかも、定期券が使える区間ではなかった。「たしか、地下鉄代とバス代を合わせると490円。その程度なら……と思わなくもなかったですけど、別に急いでいるわけではなかったですし、やっぱりもったいないなって。だから地下街の壁に寄りかかって、いつ運行が再開するとも分からない地下鉄を待っていました」
地下鉄はその日の夕方5時前に一部区間で運行を再開したが、動いていたのは大山さんの最寄り駅の2つ手前まで。この時点で1時間半近く待っていたこともあり、とりあえずその駅まで移動することにしたそうだ。
「ホームは普段の朝夕のラッシュ並みというか、それ以上で混んでいる感じでした。それで地下鉄が動いていた駅まで移動。そこから社宅マンションの最寄り駅付近までは自転車・歩行者専用道路がほぼ並行する形で走っていたため、2kmちょっと歩いて帰りました。雨が少しパラついていましたが、全線復旧の時間についてはまだメドが立っていない感じだったので。結局、自宅に戻って来られたのは夕方6時頃。普段の5倍以上の時間がかかってしまいました……」

