◆大学で学びたいことは?

松本麗鈴:そうですね。現在、私には何のつてもありません。だから大学に入ってもう一度学生をやって、さまざまなことを吸収したいと思っています。直近で興味を持っているのは、生成AIを駆使して画像、動画を作ることです。私は、私自身の顔を使ってバーチャル化することで、会えるバーチャルタレントのようになりたいと思い描いています。
――バーチャルとリアルのあわい、ということでしょうか。
松本麗鈴:イメージとしては、本籍はバーチャルにあるけれども、両者を隔てる薄い膜の、限りなくリアル側に近いところに置く感じでしょうか。空想でもいいから、いかに本物をなぞれるか、そういう技術の挑戦をしてみたいと思っているんです。生成AIを駆使すれば、画像だけではなくストーリーをつけて動かすことも可能です。自分が考えているものが、将来世の中のプラスに働くような発想につながればいいなと思っています。新しい概念を作りたいなとは思っています。
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執着は人を狂わせる。近視眼的にしか人やものを見られず、ほかの一切を遮断し、やがて孤立する。だが松本さんは、自己の内面に新たな学びを据えることで、俯瞰的な視座を得た。金銭的にも時間的にも膨大な回り道を経験した彼女が紡ぎ出す空想の世界が、今後誰かと誰かをつなぐ物語となるかもしれない。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

