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生徒の「つまずき」に寄り添いたい。元教員が放デイでかなえた「一人ひとり」への学習支援|トライク

生徒の「つまずき」に寄り添いたい。元教員が放デイでかなえた「一人ひとり」への学習支援|トライク

「やりたい」を形に。ゼロから設計した個別支援

──転職して、まずはどのような業務からスタートしたのでしょうか?

入社した当初、まだトライクはなくて、同じ会社が運営する別の放デイ「ハッピーテラス」に配属されました。

転機になったのは、入社3年目が過ぎたころのコロナ禍でした。学校の一斉休校で子どもの学びの場がなくなり、保護者の方からも「学習の遅れが心配だ」という声が多く寄せられたんです。

そこで、教員免許を持っていた私が試験的にマンツーマンの学習支援を始めたところ、あっという間に予約が埋まり、手応えを感じました。勉強がわからないことは、子どもにとっても家族にとっても切実な悩みなんだと改めて実感しました。

──そこから個別学習に特化した事業が生まれたんですね。

はい。「一対一でないと行きたがらない」「ここなら勉強できる」という声も多くいただき、そうしたニーズに応える形で、今のトライクが生まれました。

私は事業の立ち上げ段階から携わらせてもらい、授業の流れや教材を一から作っていきました。例えば、読みが苦手な子には音読から始めたり、ひらがなカードを使ったり。一人ひとりに合わせて授業を組み立てられるよう、いくつものマニュアルを準備したんです。

「みんなで音読」「みんなで文字を書く」などの集団授業では対応できない発達に凸凹がある子どものために、教員時代にやりたくてもできなかったことを、ここで形にしていきました

自信を育てる「さかのぼり学習」

和田さん_取材風景_2

──トライクに通われているのは、どんなお子さんが多いのでしょうか?

小学生が中心です。ただし、学習支援という特性上、ほかの放デイに比べて中学生・高校生の利用も多いですね。また、利用者の半分以上は通常学級に通っている「グレーゾーン」と呼ばれるような、集団生活で少し困難を感じているお子さんです。

──学習面では、具体的にどんな困りごとを抱えているのでしょうか?

例えば、読み書きに極端な苦手意識がある中学生がいました。利用開始当初は「メッセージ」という言葉を「め」「っ」「せ」「ー」「じ」と、一文字ずつしか読めない状態だったんです。

そこで私たちは、まず短い単語から始めて、次は2〜3語の文章へ、と段階的に練習を重ねました。結果、普通の本が読めるようになり、本人もすごくうれしそうでした。

逆に、得意な科目をどんどん進めたいという小学生もいます。その場合は、本人と保護者の希望を聞いたうえで、中学生の内容まで先取りして、自信につなげていくこともあります。

──学校や塾の授業とは、アプローチが違いそうですね。

そうですね。学校では集団授業のため、全員が同じペースで進む必要がありますが、トライクでは一人ひとりに合わせたカリキュラムを組んでいます

また、塾の目的は学力を伸ばすことですが、ここでは学習を通じて感情のコントロールやコミュニケーション力を伸ばす支援をしています。将来社会に出たときに困らないよう、その子の自立を見据えた視点を大切にしているんです。

トライク_内観

──具体的にどんな授業をおこなっているんですか?

学年に縛られず、つまずいた地点の少し前まで戻って学び直す「さかのぼり学習」を採用しています。

初回の面談で保護者の方から苦手なことを詳しくヒアリングして、そこから支援計画を立てます。例えば、割り算でつまずいている小学6年生の場合、割り算の前に習う掛け算から始めることもあります。

いきなり苦手に向き合うのは大変なので、苦手なところの少し前からスタートして気持ちを盛り上げる流れにしています。「わからない」を放置せず「できた!」に変えることで、学習以外の生活面でも自信を取り戻していくんです

──勉強が苦手な子どもにとって、通い始めのハードルが高そうです。拒否感を持つお子さんはいませんか?

勉強をする場所というイメージで来るので、最初は身構えていますね……。でも体験に来て、e-ラーニング教材「すらら」を触ってみると、ゲーム感覚で楽しんでくれる子どもが多い印象です。

すらら公式サイト
引用:すらら公式サイト

──教材のほかに学習環境づくりで工夫していることはありますか?

できるだけ、その子の特性に合わせた環境を意識しています。例えば学校では、授業中に突然立ち上がると先生から注意されてしまいますよね。トライクでは「立つときは声をかけましょう」というルールがあり、一声あれば授業中に立ち上がっても大丈夫なんです。

また、保護者の方からテスト対策を依頼された場合などを除いて、「いつまでにこの単元を終わらせる」という期限は設けていません。本人が理解に時間がかかっているなら、その日の内容を無理に終わらせるのではなく、一緒に立ち止まる。逆に早くできたら先に進めるなど、その子に合わせて柔軟に対応しています。

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