2021年秋に「グッチ並木」の4階に誕生した『グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ』。
グッチの美学が表された空間と、それに負けない芸術的な料理がもたらすのは、東京の他の街にはない特別な体験だ。さらに銀座の品格によって、陶酔はいっそう深まる。
アプローチを進めば誰しもが非日常に没入する
並木通りでひと際目立つ、アートウォールのような建物に入ると、世界が一変。
そこはグッチ デコール コレクションにあった動植物モチーフの“ティアン プリント”の壁紙が張られた廊下だ。
緑のアーチや赤いライトも効いて、大人のおとぎ話が始まる空気が漂う。
1世紀にわたるGUCCIの世界的成功を感じる空間
内装はフィレンツェの『グッチ オステリア』からも着想を得て本国のデザインチームが手掛ける。
さまざまなグリーンを使い分け、グッチの象徴“バンブーバッグ”をイメージした壁などブランドらしさは満点だ。床の精巧なプリントも相まって、海外気分にもなる。
独創的でアートな皿はブランドの哲学を体現する
「私はいつも黒い服を着ていますが、心の中にはたくさんの色があって、その彩りを料理に表現しています」と話すラファエラ・デ・ヴィータさん。
先に絵を描いてレシピを生むことも多いという。確かに料理は繊細な色使いが特徴で、卓上に置かれた瞬間に心を奪われる。
そんな彼女は2022年から『グッチ オステリア ダ マッシモ ボットゥーラ トウキョウ』に加わり、今春、ヘッドシェフに就任。南イタリアで生まれ育ち、来日して8年。自国の伝統料理を愛しながらも日本の食材や文化へのリスペクトも深い。
そんなシェフのパーソナリティとグッチの世界観が共鳴するような料理が、シグネチャーの「ブルスケッタの再構築」だ。
通常はパンの上に具材がのるブルスケッタだが、ここではレース模様のトマトのチップスの下にミル貝で作られたバラが透ける。
ミル貝は肝までアンチョビやバターと合わせて使い、ソースにはトマトと塩麹を合わせるなど、日本ならではの仕上がりとし、季節も反映。
口に含めば美しい色合いが必然と思うほど食材同士が一体となり、それぞれが小粋に香る。舌で感じるお洒落のような逸品は、メゾンの美学にも通じるのだ。
最初に供されるアミューズは、『グッチ オステリア』特注の「ジノリ1735」の器に3品が並んで登場。
食べる順に左から、モデナでおなじみのバルサミコとモッツァレラに着想を得たタルト、カンパチや松の実を潜ませて玉ねぎのソースを合わせた紅白大根、北海道産ヨーグルトとレモンを重ねたビーツのピクルス。
すべてコース(¥22,000~)の一例。
フランチャコルタ「カ・デル・ボスコ」のグッチ限定ラベルとともに。グラス¥2,000。
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