◆乗務員に注意されて一瞬の沈黙…
大声で走り回る子供に対して、車内は不穏な空気が漂い始めた。「隣や後ろの席からは舌打ちや溜め息が漏れ始め、私もウンザリ。いい加減、注意しようかと思っていたところに運良く乗務員の方が巡回に来て、『危ないですからお子様を走らせないでください』と注意したんです」
だが、この注意が思いもよらない事態を引き起こすことになる。
◆自動ドアで遊び始める子供

「その親子は進行方向に向かって一番前の三人掛けの席にいたのですが、今度は子供が自動ドアで遊び始めたんです。ジャンプしてダンッ!と音を立ててドアの前に飛び込んで……。自動ドアが開くのが面白かったようで、今度は大声で笑いながらドアを何度も開け閉めしたんです」
この時点で車内のイライラは頂点に達していたと多田さん。だが、もちろん親は注意もせず、それどころか今度は祖母も一緒になって子供とはしゃぎ始めてしまったという。
「子供が向こう側の車両に行って、ドアが開くたびに『ばぁ〜〜!』って大声を出し始めたんです。それに対してそのコのおばあちゃんは何度も『たっくん、かわいいね〜』って。それを何度も目の前でやられて……。疲れてるし、うるさいしで頭に来て、さすがに注意しようとしたんです」

