

1.はじめに
新型コロナウイルス流行の影響で、就職・転職活動にも変化が訪れています。これまで対面実施が基本とされていた採用面接から、PCやスマホを使った「WEB面接」や「動画選考」を導入する企業や事業所が増えているのです。
「パソコンや機械は苦手だから」といった理由で避けてしまう人もいるかもしれませんが、オンライン上の面接・選考には、メリットもたくさんあります。必要な準備物と気をつけるべきマナーさえ押さえれば、効率的に就職・転職活動が進められますよ。
今回は、PCやスマホを使ってリアルタイムに面接が受けられる「WEB面接」と、自分で撮影した動画を提出して選考が受けられる「動画選考」の2つについて、詳しく解説していきます。
2.WEB面接について
2-1.WEB面接とは?

WEB面接とは、PCやスマホのビデオ通話機能を用いておこなう面接のことです。「オンライン面接」とも呼ばれます。
ビデオカメラ機能を備えた機器とインターネットに接続できる環境さえあればどこでも利用できるため、面接会場まで足を運ぶことなく、手軽に面接を受けることができます。

WEB面接のメリット・デメリットには、以下のようなことがあります。
◎ WEB面接のメリット
・面接先の企業や事業所から離れた場所にいても受けることができる
・面接会場に行くための交通費や時間がかからない
・自宅などの慣れた環境で受けることができる
・選考スピードが比較的速い
△ WEB面接のデメリット
・撮影機器とインターネットに接続できる環境が必要
・画面上のコミュニケーションなので、得られる情報量が対面よりも限られる
前提として、面接官が重視するポイントは対面面接と大きく変わりません。その人の経歴やスキル、人柄、志望動機や職場にマッチするかどうかなどです。WEB面接は実施手段がオンラインになったものと考えてよいでしょう。
2-2.使用ツール
それでは実際に、WEB面接に必要なツールを紹介していきます。
| 使用ツール | 用途/補足 |
|---|---|
| PC、スマホ、タブレットなど | |
| カメラ | PCなどに内蔵されている場合は不要 |
| マイク | PCなどに内蔵されている場合は不要 ※内蔵マイクは周辺音を拾いやすいため、自分の声だけを集音するにはあると便利 |
| イヤホン、ヘッドホン | 周囲の音を遮断し相手の声を聞きやすくするため、またハウリングなどの音声トラブル防止のためにあると便利 |
| 充電器 | ビデオ通話はバッテリー消費が速いので面接中も接続していると安心 |
| スマホ、タブレットの固定スタンドや三脚 | スマホやタブレットの設置が不安定な場合に使用 |
| インターネット回線 | 面接の途中で通話が切れないよう、安定した回線を用意 |
| WEB面接用のアプリケーション、サイトなど | 応募先から指定されたものを使用 |
| 履歴書、応募書類など | 事前に提出した場合は用意 |
| メモ、筆記用具など | |
| 応募先の緊急連絡先 | 面接途中に通話が切れた際などの緊急連絡先として控えておく |
■PC、スマホ、タブレット
PC、スマホ、タブレットはどれを使用しても構いません。しかしPCを持っているのであれば、PCがもっともおすすめです。とくにスマホ(タブレット)は、面接の途中で着信を受けるとWEB面接が中断してしまう恐れがあります。
■インターネット回線
インターネット回線は、不特定多数の人が利用する公共のWi-Fiや携帯電話の回線を使うと、場所によっては電波が安定しません。できるだけ自宅や学校などの有線LANケーブルや、電波が安定しているWi-Fiの利用をおすすめします。
■WEB面接用のアプリケーション、サイト
WEB面接用のアプリケーションやサイトは、応募先から届く案内メッセージやメールで指定されたものを使います。
応募先独自のWEB面接サービスを利用する方法、「Zoom」「Google Meet」「Skype」「LINEビデオ通話」などの一般的に使用されているビデオ通話サービスを利用する方法などがあります。使用ツールによっては事前にアカウント登録が必要な場合があるので、案内が届いたら早めに利用方法を確認しましょう。
2-3.事前準備/マナー
先ほどもお伝えした通り、面接官の評価ポイントは対面面接と大きくは変わりません。そのため、WEB面接でも言葉遣いや礼儀などの基本的なマナーは、対面同様に気をつけましょう。
WEB面接ならではの準備やマナーについては、以下のようなことがあります。
◎面接場所を決める
まず、面接を受ける場所・機材の設置場所を決めましょう。自宅か自宅以外か、自分の部屋かリビングか、などです。選ぶポイントとしては「静かで集中できる」「不要なものが映らない」「十分な明るさがある」「カメラを安定して設置できる」かどうかをチェックします。
おすすめは、部屋の壁、もしくは白などの淡色系のカーテンを背にして撮影する方法です。ポスターなどが貼ってある場合は剥がし、風でカーテンが揺れないように窓は閉めます。
スマホやタブレットで面接する場合は、カメラと目線が同じ高さになるように、スタンドや三脚を使って端末を固定しましょう。
◎部屋の片付け・整理整頓
自宅の様子が映り込んでしまう場合は、必ず整理整頓をしましょう。散らかったままの部屋だと「仕事も雑然と取り組むのではないか」と面接官に思われかねません。少なくともカメラに映る範囲内は、きれいに見えるように整えましょう。
◎対面面接と変わらない服装・身だしなみ
WEB面接で迷いがちなのが服装です。WEB面接の場合でも、対面でおこなう際と変わらない服装・髪型・メイクにすることをおすすめします。面接官によっては「WEB面接だから身だしなみに気を抜いている」などと受け取る可能性があるので、面接内容以外のことでマイナス評価を受けないようにしましょう。
また、「上半身だけスーツ、下半身は映らないから部屋着でいいか」という人もいるかもしれませんが、何かの拍子で映ってしまう可能性はあります。面倒臭がらずに、全身きちんと着用するようにしましょう。
面接時の服装や身だしなみについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
【スーツ・私服別】医療介護福祉職の面接にふさわしい服装・髪型・メイク・身だしなみまとめ
◎プロフィール画像・表示名の確認
LINEやSkypeなど、プライベートでも使用するアカウントでWEB面接を受ける際には、プロフィールにも気をつけましょう。プライベート向きのふざけた写真やアニメ画像などは、面接官によっては好ましく思わない可能性があります。
プロフィールの表示名についても、あだ名や絵文字などは使用せず、自分の氏名にしておきましょう。
◎テスト接続・動作確認
初めてそのWEB面接ツールを使う場合、事前にテストができるのであれば、早めに動作確認をしておきましょう。面接当日にインターネットに繋がらない、ログインができない、操作方法がわからない……といった状況になると、面接に間に合わなくなるかもしれません。
テスト時に確認すべきポイントは、以下の通りです。もしひとりで確認するのが難しい場合は、家族や友人などに協力してもらっても良いでしょう。
■WEB面接接続テストの確認ポイント・相手の音声の確認(音量は適切か、タイムラグがないか)
・相手の映像の確認(映像の乱れ、タイムラグがないか)
・自分の音声の確認(声を拾っているか、雑音が入っていないか)
・自分の映像の確認(映像の乱れがないか、不要なものが映っていないか、カメラ目線になっているか)
・インターネット回線は安定しているか
・部屋の明るさは足りているか
◎非通知設定・マナーモード設定
面接の途中にスマホやほかのアプリから通知が来ると、気が散る原因になります。非通知またはマナーモード設定にしておきましょう。
なお、マナーモードにしたスマホやタブレットをWEB面接で使う卓上に置くと、振動音が伝わって面接官に聞こえる可能性があります。別の場所に置きましょう。
2-4.WEB面接の流れ
それでは、WEB面接当日の流れを確認しましょう。
①接続・身だしなみの最終チェック
事前準備で確認した接続状況や身だしなみなどを最終チェックしましょう。途中でバッテリーが切れないように、充電の確認も忘れずに。
②面接開始の5分前にはスタンバイ
最終チェックが済んだら、遅くとも面接開始時刻の5分前には、すぐに開始できる状態で待機します。
③開始の挨拶
面接官とのビデオ通話が開始したら、「◯◯◯◯と申します。本日の面接、よろしくお願いいたします」というように、まずは名乗って挨拶します。これ以降の流れは対面面接と同様に、面接官からの質問に答えていきます。
④面接中
面接では緊張して早口になりやすいですが、慌てずにゆっくり、ハキハキと喋りましょう。WEB面接では相手と同時に喋ると音声が被って聞こえないことがあるので、その場合は落ち着いてもう一度尋ねればOKです。
⑤終了の挨拶
面接終了時には、「本日はありがとうございました。それでは失礼いたします」などとお礼を伝え、面接官が退室するのを待ってから退室しましょう。数秒待って面接官が先に退室しない場合は、こちらの退室を待ってくれていると考え、「こちらから切らせていただきます。失礼いたします」などと伝えてから退室しましょう。
2-5.よくある失敗例
ここからは、WEB面接でありがちな失敗事例を紹介します。同じ失敗を起こさないよう、参考にしてみてください。
■面接中に通話が中断してしまった!
事前の接続テストでOKだったとしても、相手の接続環境やその時の電波状況によって、不具合は起きる可能性があります。そうなった場合は慌てずに、原因と思われるところを一つひとつ確認していきましょう。音声や映像の設定がオフになっていたり、接続ケーブル類が抜けていたりしませんか?
すぐに復旧できない場合は、あらかじめ聞いておいた面接担当者の緊急連絡先に電話し、事情を説明しましょう。対処方法や、別日での再面接を提案してくれるかもしれません。
■カメラの位置が低く、面接官を見下ろしていた!
PCやスマホを机の上に置いて撮影すると、目線よりも下の位置にあるカメラを見下ろす形になりやすいです。面接官側はあなたから見下ろされているように映るため、あまり印象が良くありません。できるだけカメラと目線が同じ高さになるように調整しましょう。
■面接中に、家族が部屋に入ってきてしまった!
自宅で面接を受けていると、家族が部屋に入ってきたり、外から声をかけられたりする可能性があります。家族には事前に面接を受けることを伝えておき、面接中はドアに張り紙などを貼っておくと良いでしょう。
また、面接中に宅配便などが届く可能性もあります。到着日時が事前にわかる場合は、日程を変更しておくと安心です。
2-6.よくある質問
■自宅以外で面接するならどこがいい?
自宅にインターネット環境がない場合は、自宅以外で受けることになります。そんな場合のおすすめは、「完全個室のネットカフェ」や「個室のコワーキングスペース」です。ネットカフェなら回線は安定していて、完全個室であれば周囲の様子も気になりません。コワーキングスペースは、1時間単位などからレンタルできる貸し会議室サービスです。
通常のカフェでもPCを使用している人を見かけますが、カフェはあくまで飲食がメインの場所。周囲の動きや音が気になりやすく、回線が安定していないこともあるので、面接での利用には注意が必要です。
■面接中にカンペを見てもバレない?
カメラに映らない場所なら、カンペを置いてもバレないと考える人もいるかもしれません。「カンペは絶対にNG」というわけではありませんが、あまり見すぎると目の動きや話しぶりで面接官にバレる可能性が高いです。
どうしてもカンペを使用したい場合は、要点を簡潔にまとめておく程度にしましょう。志望動機の全文を見ながら喋るような使い方では、不自然に映ります。
■面接中にメモをとってもいい?
面接中にメモをとりたい場合は、面接官に一言断りを入れると丁寧です。PCでメモをとることもNGではありませんが、タイピング音が大きいと面接官には雑音として響く可能性があるので注意が必要です。
また、メモを取ることに必死になって受け答えがおろそかになっては本末転倒なので、メモの量はほどほどにしておきましょう。どうしてもたくさんのメモを取りたければ、ボイスレコーダー機能を使って面接中の音声を録音しておくのもおすすめです。面接の振り返りにも使えます。
■「バーチャル背景」は使ってもいい?
Zoomの「バーチャル背景」を利用すると、自分の背景を好きな画像に変更することができます。どうしても部屋を見せたくない場合には使用を検討してもいいですが、「部屋を映せないほど散らかっているのか」などと面接官に憶測される恐れがあるので、使わずに済むのが一番です。
もし使用する場合は、白の無地や室内の写真など、面接の妨げにならないシンプルな背景を選びましょう。
■挨拶は立ち上がって礼したほうがいい?
立ち上がることで自分の顔が画面上から見えなくなるなら、無理に立ってまで礼をする必要はありません。その代わり、座った状態のまま正しい姿勢でお辞儀することは忘れないようにしましょう。

