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50代主婦の介護体験談:施設入居がゴールではなかった——母との時間と、悔いのない介護・看取り

50代主婦の介護体験談:施設入居がゴールではなかった——母との時間と、悔いのない介護・看取り

“看取る側”が後悔しない、介護施設の選び方

ある本に、こんなエピソードが紹介されていました。

『毎朝、黒塗りの車で施設にやって来る男性がいる。彼は入居している母親の手を10分だけ握り、黙って帰っていく。その姿を見て、スタッフは「自分たちも心を込めて支えたい」と感じるようになった——。』

この話を読んで、私ははっとしました。

「会いに行くことも、立派な介護なのだ」と気付いたのです。

通う場所が、実家から介護施設に変わっただけ。そう思えたとき、私の中にあった罪悪感が、少しずつほどけていきました。

介護の学びになる本

「海が好きだから、海の近くの施設にした」そんな話を聞くこともあります。もちろん、景色が心を癒やす方もいるでしょう。でも、景色を優先した結果、渋滞でなかなか会いに行けず、後悔したという声も耳にしました。

介護施設選びに、正解はありません。そんな中で、私がたどり着いた答えは——

「頻繁に会いに行けて、自分が介護を続けていると実感できる距離」

でした。

18年間の介護生活。最初は、逃げ出したくて仕方がありませんでした。

当時の私は、「介護施設に入居すれば、介護は終わる」そう思い、少しでも身軽になりたい、自分の生活を守りたいという本音を抱えていました。

でも、その気持ちだけで施設にお願いしたとき、心はまったく軽くなりませんでした。

悩みながらも、母の老いと向き合い、形を変えて介護に関わり続けたことで、私はようやく「やり切った」と思えるようになったのです。

母の姿は、自分自身の老いの予習でもありました。

「いつかは我が身」。

逃げずに、きちんと見ておこう。そう思えるようになったのです。

母は、介護を通して私に“これからの生き方”を教えてくれました。今は、そのことに心から感謝しています。

“看取る側”が後悔しない、介護施設の選び方
この写真の3か月後、母は静かに旅立ちました

介護施設入居後に「本当にやってよかった6つのこと」

1:入居後こそ“定期的に見直す”
実際に過ごす中で気付く課題は多い。母に合っているか、家族の負担は無理がないかを定期的にチェック。状態や性格に合う場所は後から見つかることも。

2:合わないと感じたら“施設変更も選択肢に”
一度で完璧な入居施設に巡り合うとは限らない。変える可能性を含めお金の管理をすること。健康診断書・住民票など必要書類も早めに準備。

3:罪悪感を抱えない考え方を見つける
会いに行くことも大切な介護の一つ。通う時間そのものが大切な介護だと思うこと。

4:空き家になる実家の管理も含めて計画する
郵便物の転送、契約の見直し、換気や庭木の手入れなど、入居後には“第二の負担”が生まれる。あらかじめ想定し、無理のない形で続けられる計画を。

5:本人の“できること”を尊重する
家事の一部など役割を持てる環境は生活の張りに。お世話“されるだけ”にならない視点を。

6:看取りを見据えた“距離”を優先する
景色や設備よりも、どれだけ会いに行けるか、関われるかが後悔しない介護の鍵になる。

介護に、完璧な正解はありません。でも、この形で母と向き合えたことが、今の私にとっては自信につながっています。

私の経験が、これから介護を迎える方の、ほんの少しでも道しるべになれば幸いです。

配信元: HALMEK up

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