◆夫婦でビジネスすることのリアル

「タイ人って“今が良ければそれでいい”精神が強くて、“損して得取れ”みたいな長期視点がないんですよ。さらに、サービス業なのに“お客さんに気を使いすぎる必要はない”って感覚も強いので、そこは苦労します。また、スタッフ間においても日本ほど上下関係、上司部下の関係がきっちりしていないので、上司に対しても平気でクレームを入れてくる(笑)。でも、慣れればそんなもんだと思いますし、決して悪いことではないとも思いますね」
さらに結婚当初は妻からの献身的なサポートもあったが、現在では状況が180度変わったという。
「結婚前はかいがいしいサポートもありましたが、現在はほったらかし(笑)。『なんで私ばっかりサポートしてるの? 貴方からサポートされたことなどほぼない』と、面と向かって言われたことも……。なので、最近は仕事の頼みごとを妻にすることはほとんどなくなりました。たとえ費用がかかったとしても、フリーランスのタイ人に依頼するようにしています。あえて言うなら、家庭内では仕事とプライベートをしっかり分けることが、無用なトラブルを避けるためのコツだと思っています」
◆日本社会の“窮屈さ”と、タイの“気楽さ”

「日本は社会全体に“空気を読め”って圧が強すぎて、疲れるんですよ。その点、タイでは外国人相手だと細かいニュアンスは伝わらなくて当たり前。相手も“外国人だから仕方ない”と受け入れてくれる。だから伝わらなくても気にしない、わからなくても気にしない。そう割り切れば、対人関係も夫婦関係もずっと楽になると思います」
そんな川越さんが、これから国際結婚を考える人に対してアドバイスするならば……?
「相手の家庭環境をしっかり見ることですね。家族構成、経済状況、文化の違い……そこを甘く見ると必ずトラブルになりますから。国際結婚って、本人同士の問題じゃなく、親戚・家族も丸ごとセットですからね(笑)」
最後に、タイという国の魅力を一言で語ってもらった。
「冬がない、気楽、助け合いの精神、夜が楽しい。タイは人生を肩の力を抜いて楽しめる国ですよ」
<取材・文/カワノアユミ>
【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在はタイと日本を往復し、夜の街やタイに住む人を取材する海外短期滞在ライターとしても活動中。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

