「野中広務の秘書」を30年間務めた男が振り返る「全日空ハイジャック事件」での“覚悟”。村山元総理と「強行突入が失敗したケース」を想定していた

「野中広務の秘書」を30年間務めた男が振り返る「全日空ハイジャック事件」での“覚悟”。村山元総理と「強行突入が失敗したケース」を想定していた

◆「根本的に人が好きだった」野中さんの姿勢

――「自社さ連立政権」の成立に関わる、歴史的な極秘会話にも立ち会われたそうですね。

山田大智:羽田政権の時に社会党が離脱し、政権樹立に向けて動いていた時のことです。野中先生が別の会合に出席しないといけなかったので、私が代理として、その会合の会場である都内のホテルに行くように指示されました。現地で集まっていたのは、自民党側は亀井静香先生や、社会党側は伊東秀子先生など、両党の先生方。

そこで伊東先生が「自民党さんが村山委員長を首班指名してくれるんであれば、社会党は連立を組む」という話をされたんです。亀井先生が「分かった。党内をまとめる」と応じました。「社会党の委員長を自民党が担ぐの?」と驚き、「聞かないでいいことを聞いてしまったな」 と背中から冷汗が。野中先生に車で報告した際、「先生本当に社会党の委員長をかつぐんですか?」と聞くと、先生は「うん。うん。おかしいか?」と言い出して(笑)。秘書の立場でしたが、そのような重要な情報を先に知ってしまうことがありました。

――野中さんは「野党でも与党でも全員と繋がっている」イメージがありましたが、その理由はどこにあると思われますか?

山田大智:「同じ人間として付き合いをしていた」というのが大きいかと。根本的に人が好きなんでしょうね。思想が違っても、どういう考えを持っているのかということに興味を持ち、話し合いで接点を見つけられれば、同じ目的に向かって進もうとするんですね。また、演説や説明では、中学生に理解できる程度の話をしていました。その目線で話さないとだめだ、とよく言われたものです。

◆家庭を顧みていたらこの仕事はできない

――約30年の秘書生活で、最も辛かったことや緊張したエピソードはありますか?

山田大智:運転手をしていた時、派閥の秘書の集まりに行くことができない状況が続いていました。どうしても行きたくて、運転しながら、「新婚ですから、早く家に帰らせてもらえないでしょうか」という口実を使ったことがあるのです。その途端に先生の顔がパッと変わってですね、「君な、家庭を顧みていたらこの仕事はできないぞ」と言われたんです。

国を動かしている仕事ですから、プライベートは関係ない。その時、「そこまでやっぱり覚悟を持って責任持ってやらないといけない仕事だ」と思いました。実際、先生の奥様は、手術を8回も経験されていますが、6回は立ち会っていません。身をもってその覚悟を実証しているわけです。


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