
コロナ禍で一時は激減したものの、2022年以降は急速に回復して増加を続ける「インバウンド需要」。日本政府観光局(JNTO)の推計値によると、2024年の訪日外国人数は3,600万人超で過去最高を記録しましたが、2025年はそれを上回る4,000万人を達成する見込みです。そうした背景もあり、外国人客を筆頭に旅行客の宿泊需要が高まっています。なかでもホテルより割安で大人数が泊まれる民泊は、人気の選択肢の1つです。本記事では、辻哲哉氏の著書『最強の副業 民泊 小金持ちへの道』(扶桑社)より、民泊ビジネスの収益性について解説します。※記載内容は、2025年前半(執筆当時)のインバウンド需要の実態に基づきます。
売り手、買い手、世間で「三方よし」の民泊ビジネス
インバウンド需要の回復と国内旅行者の増加、空き家活用ニーズなどを背景に大きく増加・拡大している「民泊ビジネス」。ではなぜ民泊ビジネスが「最強の副業」と言えるのか、その理由を理論的・具体的に説明します。「賃貸で民泊」を行うプレーヤーが増えているので、賃貸での民泊ビジネスをメインに説明します。
まず、ミクロ面から、民泊ビジネスに関わるプレーヤーたちに焦点を当ててみましょう。
民泊ビジネスに関わるステークホルダーは、民泊物件の不動産所有者・不動産会社(オーナー)、投資家である事業者(ホスト)、施設の利用者(ゲスト)、筆者のような運営代行業者、行政書士などの専門家、それに行政・自治体や民泊施設のある地域の住民など多岐に渡ります。
民泊が副業として最強なのは、ホストである投資家の利益はもちろん、オーナーに不動産活用で恩恵を与えられる、インバウンド(訪日外国人)のゲストにも日本での素晴らしい体験を提供できる、さらには施設が所在する地域の雇用創出に繋がり、地域貢献ができることです。
空いているお部屋を民泊として活用し、外国人との会話を楽しみ、交流を深める。それが煩わしければ、代行業者に委託すればよいでしょう。
ミクロ面で、一番重要なのは、民泊はホテルと違う点です。次のデータを見てください。家族・親族での訪日が30%以上になります。5人以上で来日するゲストも少なくありません。2人用の狭いビジネスホテルだと、家族による旅行中の会話が分断されてしまうため、大人数収容できる民泊施設の需要が生まれたのです。
[図表1]インバウンド(訪日外国人)に対するアンケート調査 出典:『最強の副業 民泊 小金持ちへの道』(扶桑社)
おまけに総コストがホテルより安くつくので、渡りに船ということで、民泊ビジネスが発展してきました。
ところで、いま、空き家問題や雇用の問題など、社会課題の解決に向けて心血を注ぐ若者たちが増えています。そういう人たちにとっても、社会貢献活動の意義を持つ民泊ビジネスは最強と言えるでしょう。
「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」――近江商人に起源をもつ、有名な「三方よし」という言葉があります。まさに民泊ビジネスは現代の「三方よし」のビジネスモデルなのです。
民泊ビジネスによって生まれる「3つの恩恵」とは
ではなぜ民泊は「三方よし」のビジネスモデルを形成できるのでしょうか。その理由を具体的に検証します。
(1)地域が潤う
- 民泊は基本的に飲食を提供しないので、地元の飲食店とのカニバリゼーション(競合)が起きない
- むしろ地元の商店会と提携し、カンタンなチラシを作成、飲食店等の商店会サービスを紹介することでシナジー効果が得られる
- 宿泊客(ゲスト)はチラシを持参することと、飲食店での支払い会計から10%オフしてもらったりできるので宿泊客も喜ぶ
(2)雇用が創出される
- 民泊・ゲストハウスを新規オープンすると、必ず清掃とリネン交換が必要になるので、人手が必要となる
- それにより清掃業者とリネン業者の仕事、雇用が創出または増加する
(3)家主または自分(ホスト)の収益が上がる
- 賃貸で民泊をする場合、事業用として家賃はアップするので、家主収益がアップする
- 家主が直接民泊を行う場合、通常賃貸と比較して、ネット収益で2〜3倍アップする
- 転貸主として、運営代行会社に丸投げする場合、経費額はアップするが、十分な収益獲得が可能
