◆現在の場所は偶然見つけた

「農地の持ち主を探して、テントを張らしてくれとお願いしたら、すんなりOKしてくれた。まったくただというわけにもいかないんで、まあ、わずかだけ有償でね。。テントも、買ったのは白いシートと留め具のネジなんかぐらいで、1棟5万円もかかってないんじゃないかな。普通に買えば、20万円はするらしいんだけど」
柱の木材や床板のコンパネは、知り合いの解体屋さんから提供してもらったという。焚火に使う薪も、解体屋さんからの提供だ。
「1年間で使う薪は、4tトラックで4台分ぐらいになる。もちろんお礼はするけど、買うとなるとけっこうな金額になるから本当に助かるよ」
こんな人とのつながりが、齊藤さんがテント暮らしに魅せられる理由のひとつだ。農地の持ち主はもちろん、近所の農家が農作物などを持ってきては、しばらく齊藤さんとの会話を楽しんでいくという。同じようなテントを建てたいと相談に来る人もいるそうだ。
「日本一周をしている人や、外国人のバックパッカーが興味を持って訪ねてくることもある。キャンピングカーで回っている人がここで泊まったり。そんな交流が楽しみのひとつだね」
◆テント暮らしの原点は都合7回の日本一周
見知らぬ人々との交流や旅先でのふれあいに魅力を見出したのは、齊藤さんが30代のころだ。じつは齊藤さんは、30代から40代にかけてバイクや自転車で5回も日本一周の旅に出ている。「ヒッチハイクを含めれば、全部で7回かな。女房と娘を乗せてサイドカーで回ったこともあったね」
行く先々でふれたのが、地元の人々のやさしさだった。食べ物や飲み物を分けてくれるのはもちろん、なかには「うちに泊まっていけ」と寝床を提供してくれる人もいた。恩返しがしたいと、齊藤さんは2度目の旅から美容師の商売道具を持っていくようになった。
「お礼に髪を切ってあげようと思ってね。道の駅で『カット無料』の看板を立てたこともあった。みんなとても喜んでくれたよ。女房と娘と3人で回ったときには、パーマや毛染めの道具も持っていったんだ」

