◆サウナブームの中、安全対策が置き去りに
個室型施設は、「体調急変時に外部から気づかれにくい」という構造的リスクもあるため、施設としての危険性は高いと南澤弁護士は指摘する。サウナという危険性を伴う場所であればなおさらだ。衆人環視を前提とした、通常のスパや銭湯と同一の対策では不十分だという。「そもそも、サウナという施設自体、プールや遊園地のアトラクションと同様に、生死の危険を内在している一方で、サウナの危険性や安全対策について語られる機会はほとんどなかった印象です。ここ数年のサウナブームによって店舗が増加する半面、事業拡大を優先するあまり、安全対策がおろそかになっている施設も少なくないでしょう」
最後に南澤弁護士は、業界全体への提言で締めくくった。
「業界としては、今回の事故を重く受け止め、業界内で統一的な安全対策基準を整備するなど、利用者が安心できる枠組みを考えていく必要があると思います」
サウナブームの裏で、今回のような悲劇が繰り返されないために、経営者はコンプライアンス意識を徹底し、私たち利用者もサウナの潜在的なリスクについて理解を深める必要があるのではないだろうか。
亡くなられたご夫婦のご冥福を心よりお祈りするとともに、突然両親を失うことになったお子様、そしてご遺族に、最大限の配慮と支援がなされることを願わずにはいられない。<取材・文/日刊SPA!取材班>

「パチスロで学費を稼ぎ、弁護士になった男」という異色の経歴を持つ。司法修習時代は、精神医療センターにて、ギャンブルを含む依存症問題について研修を受けた経験があり、一般市民の悩みに寄り添った、庶民派の弁護士を志す。アディーレ法律事務所・北千住支店長として対応した法律相談数は、累計数千件に及び、多様な一般民事分野の処理経験を経て、現在は交通事故部門の責任者となる。

