民泊にも格差が存在?「金持ち民泊・貧乏民泊」
インバウンド需要で上り調子ながら、少なからず経営課題も散見される民泊。では民泊を「最強の副業」とするためには、何を意識すべきでしょうか。
筆者はご自身で民泊を運営されている事業者の方から、相談を受けることが多々あります。それは、「労働から解放される」ための副業だったはずの民泊で、なぜか労働から解放されず、以前よりも忙しくなるという内容です。
この相談内容を踏まえ、前述した経営課題とは少し異なる「副業で民泊する際の経営課題」を考えましょう。
それは、端的に副業に時間をかけすぎることの危険性であり、すなわち「時間の使い方」についてです。さらに言えば、「効率的な稼ぎ方」を意識する必要があります。
強調しますが、副業は「労働」ではありません。あなたはいわば資本家として、もしくは経営者として、アルバイトなどの労働者を雇用して利益を出す、という視点が重要です。これは意識の持ち方として、サラリーマンにとってはなかなかハードルが高いかもしれません。
民泊事業者の方で、他人に任せず、なんでも自らやってしまう、属人化したやり方をしている人がいますが、それは「経営」ではないのです。属人化して営業している人は、ゲストに対してきめ細かい対応を目指し、スーパーホストという称号を得て、気分は良いかもしれませんが、副業の目的は「収益最大化」なので、関係ありません。
そもそも、最強の副業である民泊を営むのは、家族や恋人と楽しい時を過ごしたり、何かやりたいことをするための収入と時間を作るためのはずです。ゲスト対応に躍起になって、自分の時間がなくなるなど、本末転倒になってはいけません。
さらに注意しておきたいのは「ケチケチオーナー・事業者は失敗する」ということです。筆者の長年の経験から言えるのは、初期投資やランニングコストをケチっている物件は窮乏化しやすい傾向にあります。
それとは正反対に、設備投資におおらか、ゲストに優しく接することができ、利害関係者にも気持よく働いてもらう姿勢を持ったオーナーなどの物件は、成功する確率が高くなります。
すなわち、お客のつかない「貧乏民泊」は、レビュー評価の下がるお荷物物件となり、儲からない負のスパイラルに陥ります。
一方で、設備がキチンとした「金持ち民泊」は放っておいても儲かっていく――このような二極化が進行します。この差は今後も拡大していくことでしょう。みなさんには「勝ち馬物件」のオーナー・事業者になっていただきたいと願います。
「狭義の民泊」と「広義の民泊」、儲かるのはどっち?
最後に「狭義の民泊」「広義の民泊」について説明しましょう。民泊と言えば「民泊新法」に基づく内容を想定されると思います。「180日縛り」はその典型例です。
しかし、筆者の会社では民泊新法に基づく民泊を「狭義の民泊」ととらえています。エリアを選定して物件を探し、不動産会社や家主(オーナー)と打ち合わせ、物件を賃貸で獲得して、初期費用を抑えて、お手軽にスタートさせる民泊です。
一方、自宅や別荘など、自らが所有する不動産に関し、旅館業の免許を取って民泊として活用するものを「広義の民泊」と呼んでいます。
旅館業の免許を取得して民泊ビジネスをするほうが、365日営業できるので、格段に儲かります。それゆえ、筆者は「広義の民泊」をみなさんに強く勧めています。
実際、筆者たちのクライアントでは、半数の方が旅館業免許を取得して民泊を行っています。もちろん、「狭義の民泊」に比べ、消防法などのクリアすべきハードルがあり、苦労することは確かですが、見返りとして高収益化が見込めます。
きちんとした行政書士などプロの協力を得て、みなさんも是非チャレンジしてほしいと思います。
辻 哲哉
楽々プランニング株式会社
代表取締役
