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冬に輝く塊根植物|冬型コーデックスの魅力と代表種、育て方をプロが徹底ガイド!

冬に輝く塊根植物|冬型コーデックスの魅力と代表種、育て方をプロが徹底ガイド!

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亀甲竜、オトンナ、チレコドンなど、冬に成長期を迎える「冬型塊根(コーデックス)」の魅力を徹底紹介! 人気の代表種から育て方、管理のコツまで、多肉植物専門家の関さんがプロの視点で解説します。この冬、とっておきの1株に出会えるかも。

冬型塊根とは?|夏に眠り、冬に目覚める不思議な植物たち

ガディンツキープランツの冬型塊根

昨今、園芸マニアを熱狂の渦に巻き込んでいる多肉植物。
その中でも、イカついボディが魅力の塊根植物(コーデックス)が特に注目を浴びています。
今回は、寒い冬に彩りを添える冬型塊根植物(以下冬型塊根)について、お馴染み世田谷区・九品仏で多肉・観葉植物専門店「gadintzkiplants (ガディンツキー・プランツ)」を営む園芸家・関ヨシカズさん(以下関さん)に解説してもらいました。

関メロ
「冬型塊根? 大好きです。おまかせください!」

冬型塊根(コーデックス)の特徴と生態

万物想を真上から
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

冬型塊根の多くは、南アフリカやナミビアなどの乾燥地帯を原産としています。
“冬型”とは、原産地の冬が成長期であるという意味で、日本の冬に強いということではありません。

代表的な種類にはペラルゴニウム、オトンナ、チレコドンなどがあり、どれも地中や地表近くに塊根(かいこん)と呼ばれる貯蔵器官を持ち、その中に水分や養分を蓄えて生きています。

オトンナ・カカリオイデス

気温が下がり空気が乾燥するこの時期に新芽を伸ばし、多種多様な葉を広げたり、可愛らしい花を咲かせたりと、静かな季節にこそ存在感を放ちます。

活動期は冬から春にかけてで、気温が上がり始めると次第に葉を落とし、塊根だけを残して休眠に入ります。
このように、「寒い時期に育ち、暑い時期に眠る」という逆転したサイクルが、冬型塊根の最大の特徴です。

夏型との違いを知ろう

塊根夏冬

塊根植物には、主に「夏型」「冬型」の2タイプがあります。
名前のとおり、夏型は夏に成長し、冬に休眠します。対して、冬型は冬に成長し、夏に休眠するのが大きな違いです。

夏型塊根(例:パキポディウム、アデニウム、アデニアなど)は、マダガスカルなどの熱帯・亜熱帯の乾燥地帯を原産とし、強い日差しと高温を好みます。
気温の高い時期に枝葉を一気に伸ばし、秋以降に気温が下がると休眠に入ります。

一方、冬型塊根(例:オトンナ、チレコドン、ペラルゴニウムなど)は、南アフリカなどの「冬に雨が降る地域」に適応したタイプ。
これらの植物は、日本では気温の低い冬から春にかけて成長期を迎え、夏の高温期には葉を落として休眠します。
つまり、原産地の気候によって生活リズムが正反対となるわけです。

夏冬比較

見た目にも違いがあり、夏型は塊根が太く力強い印象なのに対し、冬型は造形的なものが多いのが特徴。
また、栽培環境も異なり、夏型は屋外での強光と高温下での管理、冬型は暖かい室内でのLED管理が基本となります。

原産地と気候から見る“冬に育つ理由”

冬型塊根が冬に成長する理由は、原産地の気候と密接に関係しています。
まずは、原産地である南アフリカ周辺の地理的な位置を確認してみましょう。

冬型塊根自生域地図

上の衛生写真はアフリカ大陸南部を拡大したものですが、矢印で示した赤く塗ったエリアが冬型塊根の主な原産地です。
同じ縮尺で日本列島を重ねてみると、この地域がいかに広大であるかが分かります。
また、この辺りは南緯30度前後に位置しており、気候帯としてはオーストラリア西部のパース周辺と同じ緯度帯に属します。

さらに衛生写真右端には夏型塊根の原産地であるマダガスカルがあり、南アフリカ、日本、マダガスカルのサイズ感を比べることで、それぞれがまったく異なる気候環境にあり、植物の成長時期が大きく違うことが視覚的にも理解できます。

冬型塊根植物の故郷であるこの赤いエリア、南アフリカのケープ地方やナミビア南部は、独特の「冬雨型気候」に属します。
ここでは冬に雨が降り、夏は乾季のため極端に乾燥するという、日本(特に太平洋側)とはまったく逆の季節パターンとなっています。

ナミビアの年間気候図

冬の日中は暑く夜間は冷え込み、降水が適度にありつつ、強い日差しにも恵まれるという、日本とは異なる冬の環境が続きます。
しかし、これこそが冬型塊根にとって理想的な生育条件であり、この気候に適応する過程で特徴的な塊根の姿へと進化してきたのです。

一方で夏は風も強く、降水量も激減するため、植物たちは葉を落とし、塊根に貯えた水分と栄養だけで耐える休眠モードに入ります。これが、冬型塊根植物が持つ“生きるための戦略”です。

ワリチー休眠
自生地で休眠状態に入ったチレコドン・ワリチー 
Photo courtesy of Dennis Van-Hettenn/Botanisch Onderzoeksinstituut Leiden

つまり彼らにとっての冬は“生きるための活動期”であり、夏は“命を守るための静寂の時間”なのです。
日本では季節が真逆になるため、日本の冬=原産地の雨季という関係になります。
そのため、日本でも冬から春にかけて活発に成長し、夏は自然に葉を落として休眠するわけです。

では、実際にどんな種類がこの“冬成長サイクル”を持っているのでしょうか。ここからは、個性豊かで魅力あふれる代表的な冬型塊根たちを紹介していきます。

冬型塊根の代表的園芸品種10種を紹介|造形美と個性が際立つ名作たち

ディオスコレア属/Dioscorea

エレファンティペス/Elephantipes

亀甲竜
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

🏛学名】: Dioscorea elephantipes (L’Hér.) Engl.

🔍【学名詳細】

🌏通称/和名】:Elephant’s foot yam(象の足のヤム芋)/亀甲竜

🪴特徴】 : 南アフリカ北東部〜モザンビーク原産。亀の甲羅のような巨大な塊根と、冬に伸びるツルとハート形の葉が強い印象を残す冬型塊根の代表種。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★☆☆☆
冬型塊根としては比較的容易に育てられますが、夏の管理を誤ると以降の成長に影響します。
特に日本の夏の強い直射日光を塊根部に当てると焼けてしまい、それが原因で枯れる恐れがあるため注意が必要です。

🤑【市場価格帯】:2,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)
大きなものは見た目もかなりスパルタンで、価格も10万円くらいするものもありますが、gadintzkiplantsによると3.5寸くらいの手乗りサイズ(7,480円)が価格的にも人気。

🤖【その他】

オトンナ属/Othonna

ヘレー/ herrei Pillans

オトンナ・へレー
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

🏛【学名】: Othonna herrei Pillans

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:Richtersveld Othonna(リヒターズフェルトのオトンナ)/蛮鬼塔

🪴【特徴】:南アフリカ・リヒターズフェルト山脈原産。鬼の顔のような奇怪な塊根から放射状に多肉質の葉を広げ、秋には小さな黄色い花を咲かせる人気種。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★☆☆☆☆
塊根植物初心者にもおすすめの育てやすさ。

🤑【市場価格帯】:2,000〜20,000円(個体の大きさや状態により変動)
オトンナ属としては最も手に入れやすい。

🤖【その他】

ユーフォルビオイデス/Euphorbioides

オトンナ・ユーフォルビオイデス
Photo by Sándor Horváth/llifle.com

🏛学名】:Othonna euphorbioides Hutch.

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:spiny othonna(トゲトゲオトンナ)/黒鬼城

🪴【特徴】:南アフリカ北ケープ州原産。生姜のように剥ける塊根からトゲと多肉質の葉を伸ばし、黄色い小花を咲かせる独特な姿が印象的。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★☆☆☆ 塊根植物初心者にもおすすめの育てやすさ

🤑【市場価格帯】:2,000〜30,000円(個体の大きさや状態により変動)

🤖【その他】

チレコドン属/Tylecodon

レティキュラーツス/Reticulatus

チレコドン・レティキュラーツス

🏛【学名】: Tylecodon reticulatus (L.f.) Toelken

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:Butterbush/万物想

🪴【特徴】:南アフリカ〜ナミビア原産。剥けた塊根と、花後に残る網目状の花柄が絡み合う独特のフォルムで、冬型塊根を象徴する存在。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆ 
やや中級者向け

🤑【市場価格帯】:10,000〜50,000円(個体の状態により変動)

🤖【その他】

ペアルソニー/Pearsonii

チレコドン・ペアルソニー
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

🏛【学名】: Tylecodon pearsonii (Schönland) Toelken

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:白象

🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。低重心でどっしりとした塊根と、落葉後に際立つ無骨な造形美が魅力のチレコドン。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
レティキュラーツスよりは難易度が高いため経験者向け。決して難物というわけではないが、レティキュラーツスで慣らしてからがおすすめ。

🤑【市場価格帯】:6,000〜60,000円(個体の大きさや状態により変動)

ペラルゴニウム属/Pelargonium

トリステ/Triste

ペラルゴニウム・トリステ

🏛【学名】: Pelargonium triste (L.) L’Hér

🔍【学名詳細】

ちなみに、「ペラルゴニウム」を検索すると、フウロソウ科の一般的な花が多くヒットします。
その中で、太い根(塊根)を持つタイプが、本種をはじめとする“塊根性ペラルゴニウム”と呼ばれるグループです。

🌏【通称/和名】:Night-scented Pelargonium

🪴【特徴】:南アフリカ・ケープ地方原産。古木のようなコルク質の塊根と銀白色の葉、夜に甘く香る可憐な花を併せ持つ名品。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
経験者向け。決して難物というわけではないが、オトンナなどで経験を積んでからがおすすめ。

🤑【市場価格帯】:10,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)

🤖【その他】

ミラビレ/Mirabile

ペラルゴニウム・ミラビレ
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

🏛【学名】: Pelargonium mirabile Dinter

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:Admirable Stork’s-bill(イケてるコウノトリのくちばし)

🪴【特徴】:南アフリカ・ナミブ砂漠地域原産。サンゴのように分岐する硬質な枝を広げ、小さな葉と可憐な花を添える独特の樹形が魅力。

🔎【特徴をもっと詳しく】

モンソニア属/Monsonia

ムルチフィダ/Multifida

モンソニア・ムルチフィダ
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

🏛【学名】: Sarcocaulon multifidum E.Mey. ex R.Knuth

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:月界

🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。横に広がる低木状の樹形と銀白色の裂け葉、淡いピンクの花が盆栽的な趣を感じさせる小型塊根。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
経験者向け。決して難物というわけではないが、オトンナなどで経験を積んでからのほうがおすすめ。

🤑【市場価格帯】:10,000〜40,000円(個体の大きさや状態により変動)

🤖【その他】

パキポディウム属/Pachypodium

ナマクアナム/Namaquanum(光堂)

パキポディウム・光堂
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

🏛【学名】: Pachypodium namaquanum (Wyley ex Harv.) Welw.

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:Elephant’s Trunk(象のトランク)、Halfmens(半人間)/光堂(“こうどう”、または、”ひかりどう”)

🪴【特徴】:南アフリカ〜南西ナミビア原産。巨大に肥大する幹と神々しいボトル型の樹形を持ち、原産地では「Halfmens(半人間)」の名でも知られる異色のパキポディウム。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★★★★
昨今の日本の気候ではかなり繊細な管理が求められる。
塊根上級の手腕を以てしても、夏に上部から腐敗させる例が多く、かなりの難物。
関さん曰く「栽培方法の答えが見つかっていない植物。ゆえに最もチャレンジし甲斐がある。」

🤑【市場価格帯】:9,000〜50,000円(個体の大きさや状態により変動)

🤖【その他】

ケラリア属/Ceraria

ピグマエア/Pygmaea

ケラリア・ピグマエア
Photo courtesy of JOHN CHEESEBURGER FOTOG.

🏛【学名】: Ceraria pygmaea (Pillans) G.D.Rowley

🔍【学名詳細】

🌏【通称/和名】:Portulacaria pygmaea(旧分類の名称), Pygmy Porkbush

🪴【特徴】:南部アフリカ原産。異形の塊根と可憐な葉が同居する、静かで神秘的な存在感を放つ小型塊根。

🔎【特徴をもっと詳しく】

💪🏻【栽培難易度】:★★★☆☆
見た目に反して育てやすいが、とても日光を好むため、成長期は直射日光、あるいは近距離でのLED照射を推奨。

🤑【市場価格帯】:15,000〜40,000円(個体の大きさや状態により変動)
流通しているのはほぼ現地球。塊根部が丸みを帯びるほど高価になる傾向がある。

🤖【その他】

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